刊行書籍情報
晩年のカント
還暦を過ぎ、ようやく購入した自宅。 いっさいの装飾を欠いた空間で、家族とのつきあいも絶ち、老哲学者カントは何を考えていたのか? 三批判書を書き上げ、名声を確かなものとした彼に起こった、ある筆禍事件とは? 同業の哲学者は一度として招待せず、連日四〜五時間におよぶ食卓で繰り広げられる会話。 女性や人種に対する高慢と偏見の集積。人の名前を覚えられなくなり、アルファベット順の引き出しをこしらえて会見に臨む姿。 ケーニヒスベルク市内の年長の高齢者に対する異様な関心――。 ある老哲学者の、ぎこちない下手な生き方を辿る。
定価900円(税別)
ISBN9784065222331