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異端審問

異端審問

渡邊 昌美

ヨーロッパ中世を血の色に染めた狂熱の炎。徹底的に排除され裁かれた「異端」の脅威とは何か。史料を渉猟し、キリスト教社会の闇に迫る。異端の認定――それよりも驚くのは、異端の認定の峻厳さである。異端者数名とともに人目を避けて葡萄畑に行き、そこで異端の書物を読み、一緒に食事をしたという聖職者が、職務を停止されてサンチャゴ巡礼を科せられたのは理解できないこともないが、少年時代に異端らしい者を見た男、それと知らずに異端者を対岸に渡した渡し船の船頭、渡し船に異端者と乗り合わせたことのある男、異端とは知らずに怪我人の腕に包帯を巻いてやったことのある医師、ある病人の家に異端者が入るのを見かけたことのある男、病児のために医術の評判の高かった異端者に相談した男などが、長途の巡礼を命じられているのだ。異端者が社会の底辺にまで浸透していた時代、彼らと何らかの接触の経験のない者はいなかった。それをしも「幇助者」「迎接者」「秘匿者」と見るならば、全住民が有罪である。事実、この頃の異端審問官は全住民を信仰の敵と考えていたのかもしれない。――本書より

定価631円(税別)

ISBN9784061493124

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