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墓と葬送の社会史

墓と葬送の社会史

森 謙二

村はずれに捨てられ、粉砕された死体・遺骨。それが納骨・墓詣りの習俗へと変化したのはなぜか。祖先祭祀の象徴であった墓が、その存在自体を拒否されつつある現代的側面も含め、死者管理の歴史展開を眺望する。火葬禁止令の背景――火葬禁止は、1873(明治6)年7月18日。太政官布告第253号「火葬ノ儀自今禁止候條此旨布告候事」という短い布告によっておこなわれる。『太政類典』のなかに、どのような経過を経て火葬禁止令が制定されたかについて述べられている。(中略)すなわち、火葬の是非は別として、千住駅近くの俗に火葬寺と呼ばれる地及び深川の霊岸寺、浄心寺等において火葬場を設けているが、死体の焚焼による煙と悪臭がひどく、人々の健康を害し、不潔であるとする。これらの寺だけではなく、人家接近の地で火葬することはよくないのでこれを禁じ、悪臭が人家に届かない地を測り、火葬場を設けるように高議のうえその筋と相談をしてほしいというのが、警保寮の、伺いの内容であった。(中略)警保寮の上申にたいして、太政官庶務課の回答が寄せられるのは5月29日である。この回答では、火葬は「浮屠(浮図(ふと)=仏僧)ノ教法ニ出テ、野蛮ノ陋躰ヲ存シ惨劇ノ甚敷(はなはたしき)モノニシテ人類ノ忍ヒ難キ処」と規定したうえで、火葬場の新規替え地を認めるとするならば、火葬を公認することになるので、火葬を禁止すべきだとした。――本書より

定価660円(税別)

ISBN9784061491526

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