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刊行書籍情報

大阪弁おもしろ草子

大阪弁おもしろ草子

田辺 聖子

〈大阪弁〉には、よういわんわ(私ではなし能わぬことである)、けったくそ悪い(縁起でもない、いまいましい)、ちちくる(男女がしのびあって情を交わす)、タンノする(もう十分、飽きるほど堪能した)、いてこます(やっつける)、あきまへん、おおきに……等々、上方文化の伝統と風土がはぐくんだ独特の表現と言い回しが、いまなお根づよく残っている。庶民の暮らしや風俗へのこまやかな観察をもとに大阪弁のおかしさ、楽しさ、せつなさのあれこれを自在闊達の筆さばきで生き生きと描き出す快著。「けったくそ悪い」――これは古語の「けたいが悪い」、卦体(けたい)、すなわち気持、気色、などから来ているらしいが、「けったくそ悪い」は縁起でもない、いまいましいという意味になる。ライバルに恋人を奪われ、その結婚式の招待状が来たりすると、「けったくそ悪い」である。ふつうの不愉快ではない。腹が癒(い)えぬ、どうしてくれよう、という意味もこめられ、そのいまいましさを晴らすすべも、さし当って思いつかない、という悶々の状態。ここはやっぱり「クソ」が入ってもよい、いや入らなくてはこの悶々のやるせなさが表現できません。「けったくそ悪い!」とひとりごつと、少しは胸の憂いの雲も晴れようというもの。――本書より

定価660円(税別)

ISBN9784061457867

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