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「法華経」を読む

「法華経」を読む

紀野 一義

人間の悩み、恨み、欲望はつきるところをしらない。この世のすべてのものを肯定して、さわやかに明るく生きることはできないものか。「法華経」はいう。自分は救えなくとも、人を救えと。私利私欲をすてて生きると、見るもの聞くものみな美しくなり、さとりは、突然にやってくると。太陽や月の光が、暗いところを照らし出すように衆生の闇を滅し人々をゆったりとした絶対肯定・無限抱擁の世界へ導いてくれる「法華経」の真髄を、数々の生きざまを通して語る。宇宙的な超越世界に読者を誘う心の書。すざまじき男――今の日本人は、憎しみには憎しみを返すという型の人間が多いが、常不軽菩薩は憎しみに対して、愛を、尊敬を、信ずることを返した。それは、「すさまじい楽天主義」だと思う。楽天主義というと人はすぐ、いいかげんとか、気楽さとか、人のよさとか、うすのろとか連想するらしいが、楽天主義とは、すさまじきものである。殺されたって、人を信じ通すという人生観を変えないのだ。人間はすばらしい。自然はすばらしい。生まれてくるってことはすばらしい。死ぬってこともすばらしい。病気になるってのもすばらしい、という風に、徹底的に信じ通すのだ。肯定、肯定、絶対肯定してゆくのだ。常不菩薩は、すさまじき楽天主義者である。私はこの頃、男というものはどこかですさまじい生き方がなくてはならぬと思いはじめている。人間はすばらしいと信じ通すすさまじさである。――本書より

定価700円(税別)

ISBN9784061456570

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