権力と圧制なしに、会社にも家庭にも「平等」はないという矛盾と絶望

資本主義が倒れても「家父長制」は生き残る
ヤニス・バルファキス プロフィール

「株式会社」が歴史を変えた

いっぽうのアイリスは、その違いはイヴァが考える以上に大きい─実際、はるかに大きい─と考え、次のように説明した。レヴァント会社は、エリザベス1世時代に設立され、地中海貿易を独占した会社である。そのような世界的な貿易会社でさえ、16世紀末まではギルドかパートナーシップだった。個々の構成員が資金をプールして、個人ではとても不可能な大事業に取り組んだ。

 

ところが、1599年9月24日のこと。シェイクスピアが『ハムレット』の完成に向けて頭を悩ませていた場所にほど近い、ムーアゲイトフィールズを入ったところにあるハーフティンバー様式の建物で、歴史的な出来事が起きていた。ある会社が設立されたのだ。その所有権は小さな断片に分割され、ちょうど銀のように、匿名で自由に売買できた。実際の事業活動に関わることなく、誰にも告げることもなく、新しい会社の一部を所有できた。こうして、世界初の合本制会社が誕生した。それが、チューダー朝のイングランドで最も革命的な発明だったことは間違いない。その会社の名前は、もちろん東インド会社である。(翻訳/江口泰子) →次回に続く