現場でのさんまさんとの活発なやり取り

方言指導だけではない。今回、ベテランの声優たちをも大いに驚かせたのは、さんまプロデューサーがアフレコの現場でひらめいたアイディアを次々に提案し、時には脚本にないアドリブもオーダーするという独特の演出法だった。こういう場合、声優が事前に演技を固めてきてしまうと、なかなか対応できず、それ以上の変化は難しくなる。

「さんまさんは『〇〇してみよう』とか『今度はこういう雰囲気で言ってみて』とか、アイディアがどんどん出てくるんです。どの演出も興味深かったですし、その場で台詞を変えてみるとか、いろんな挑戦ができたことは学びになりました。すごくおもしろかったです!」

漁船に住む訳あり母娘の肉子とキクコ。Cocomiさんは劇中でフルートの腕前も披露している。©2021「漁港の肉子ちゃん」製作委員会

予想もしていなかったオーダーにも瞬時に応えることができる勘の良さと、その変化を楽しめる柔軟性。どんなにテイクを重ねても「自分が納得いくまでやりたい」と全力を出し続けるガッツ。これらはCocomiさんの持ち前の優れた音感とともに、音楽家として鍛えられ、培われてきたものだろう。

また、劇中で流れる、キクコを音楽で表現する楽曲ではフルート奏者として参加。アニメ映像のモニターを観ながら、キクコの気持ちをそのまま投影させた演奏は実にエモーショナルで、感動のシーンをさらに盛り上げている。

「私が一番好きな場面は、肉子ちゃんとキクコの病室のシーンですね。あそこは音楽もすばらしくて、グッときました。キクコの同級生の少年、二宮が作った模型をキクコが見るシーンもすごく印象的です。原作を読んでいたときに感じた作品の雰囲気やイメージと、出来上がっていた映像がまさにぴったりで感動しました。『漁港の肉子ちゃん』は、母娘が紡ぐ、本当に心温まる物語なので、ぜひ大切な人と一緒にご覧いただけたら嬉しいです」

アニメを心から愛し、本作で声優デビューという夢を見事に実現させたCocomiさん。最後に今、ハマっているアニメ作品を聞いてみた。

「それはもうたくさんあります(笑)。その中でも特に熱いのが、アニメ一期が終わって、今年の冬に劇場映画が公開される『呪術廻戦』。あと、スケートボードを題材にした青春アニメ『SK∞エスケーエイト』にもハマっています!」

©️2021「漁港の肉子ちゃん」製作委員会
Cocomiさん PROFILE
2001年5月1日、東京都生まれ。フルーティスト、モデル。3歳からヴァイオリンを、11歳でフルートを始める。現在もフルートをN響・神田寛明氏に師事。2019年、日本奏楽コンクールで最高位を受賞。2018年、2019年の全日本学生音楽コンクールで、2年連続入選を果たすなどのコンクール歴を持つ。
劇場アニメ映画『漁港の肉子ちゃん』
母娘のふたり家族、肉子ちゃんとキクコ。情にあつくて惚れっぽい肉子ちゃんは、恋愛では失敗だらけの人生。小学5年生、多感なお年頃のキクコは、そんな母のことが最近ちょっと恥ずかしい。共通点なし、漁船の船に住む訳あり母娘の秘密が明らかになるとき、ふたりに最高の奇跡が訪れる――! アニメーション制作は『海獣の子供』、『映画 えんとつ町のプペル』のSTUDIO4℃。声の出演には大竹しのぶ、Cocomi、人気声優の花江夏樹や下野紘、俳優の中村育二、吉岡里帆などバラエティ豊かで豪華な顔ぶれが集結した。

6月11日(金)全国ロードショー 配給:アスミック・エース
©2021「漁港の肉子ちゃん」製作委員会