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異例ずくめの2020年、私たちはどんな世界を生きているのか?

激動の世界を「三つの視点」で振り返る

国際政治の構造的な転換

2020年は、国際政治の大きな変化を強く感じさせる激動の年であった。その余波で、多くの武力紛争や騒乱を目撃することになった年でもあった。

第一に、新型コロナ危機が、脆弱国家の統治体制を、さらにいっそう脆弱にした。第二に、権威主義的な政治体制が、さらにいっそう広がった。第三に、米国の凋落と中国の超大国化がさらに進展した。

以下、三つの大きな視点にそって、個々の武力紛争の様子も概観していきたい。

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新型コロナの深刻な影響

新型コロナ危機が世界に広がった2020年3月、グテレス国連事務総長は、世界の紛争地域の政治指導者に、停戦を呼び掛けた。新型コロナに人々が苦しんでいる最中、武力紛争などやっている場合ではないはずだ、という訴えだった。

これは常識的には、非常に理にかなった訴えであったように思える。新型コロナの脅威は、どの紛争当事者に対しても降りかかるはずだ。皆が等しく武器を置いて感染症対策を優先させても良さそうなものだ。

しかし、呼びかけに応じる声明を出したのは、情勢が劣勢な側の勢力ばかりだった。結局、双方の当事者が呼びかけに応じて、紛争が止まった、という事例は、生まれなかった。

現実には、 新型コロナ危機は、紛争当事者に対して、歪な形で影響を与えた。保健行政を進める責任は、各国政府に、重たい負担となってのしかかった。

ところが非政府の武装勢力には、そのような負担はない。それどころか新型コロナ危機を勢力拡大の機会にしようと狙っているかのような態度を見せる者もいた。

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