日韓首脳会談「中身ゼロの45分間」と、韓国外交の深刻な機能不全

文在寅政権内の激しい路線対立が…
牧野 愛博 プロフィール

だが、元々国会議員で、文在寅政権で権力を握ることにしか関心がないとされる盧氏は、外交安保分野で存在感を発揮できずにいる。外交筋の一人は、盧氏の駐中国大使時代について「いつも『早くソウルに戻って青瓦台に入りたい』と言っていた。外交活動には積極的ではなく、外交を統括する楊潔篪(ヤン・ジエチー)中国共産党政治局員や王毅(ワン・イー)外相ともほとんど会えずに終わった」と語る。

 

外交省を下働き扱い

韓国大統領府はもともと、政党から派遣されたり、大統領の個人的な人脈から起用されたりする「内政派」が強く、外交安保分野を担当する人々の声は大きくないのが通例だ。ただ、それでも外交安保分野の人々が独自の視点や意見を出すことで、なんとか外交での失敗を防いできた。

ところが、文在寅政権の場合、その源流である盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権時代に起用した潘基文(パン・ギムン)外相や宋旻淳(ソン・ミンスン)外相が、後の大統領選で文在寅氏の対抗馬になる動きを見せたり、文氏に否定的な発言をしたりした。

このため、文政権内には外交官を敵視する空気があったうえ、鄭義溶国家安保室長や金鉉宗同室第2次長らが、外交省をほとんど下働き扱いして、外交チャンネルの機能が低下した。

これに加え、肝心要の韓国大統領府内の外交安保機能が低下するという非常事態に陥っている。韓国大統領府にはざっと数えて300人くらいの職員が働いているとされるが、このなかで日韓関係だけを専門に担当する職員は1人もいない。日本政府関係者の1人は「文在寅大統領は反日ではないが、おそらく日韓関係を考える時間は、かなり限られているだろう」と語る。

こうした韓国大統領府の外交安保機能の低下や、元々の日韓関係への関心の薄さが、12月24日の首脳会談が期待はずれに終わる結果を招いたようだ。

では、2020年の日韓関係には、どのような事態が待ち受けているのだろうか。まず、日韓両政府が懸念しているのが、徴用工判決で損害賠償を命じられた日本企業の韓国内資産が現金化される事態だ。日本政府は現金化された場合、対抗措置を取る方針を決めている。