日韓首脳会談「中身ゼロの45分間」と、韓国外交の深刻な機能不全

文在寅政権内の激しい路線対立が…
牧野 愛博 プロフィール

南北政策で大統領側近が対立

複数の関係筋によれば、大統領府で外交と安全保障を担う国家安保室が最近、著しく混乱しているという。

その一つの現象が、実質的な外交安保の統括者と言われる、金鉉宗(キム・ヒョンジョン)第2次長とその部下である崔(チェ)ジョンゴン平和企画秘書官との対立だ。崔氏は今月に入って、国家安保室に出勤しない状態が続いているという情報も飛び交っている。関係筋の一人は「南北政策を巡る金氏との路線対立が原因のようだ」と語る。

崔氏は、文在寅大統領の外交ブレーンである文正仁(ムン・ジョンイン)大統領特別補佐官と同じ延世大教授人脈に連なる。文政権発足当時から大統領府に入り、昨年9月の南北首脳会談では、平和軍備統制秘書官として南北軍事合意をまとめた。

当時、韓国の軍事専門家は「崔氏は軍備統制に必要な信頼醸成措置など具体的な知識がほとんどなかった。それでも軍事合意のまとめ役になったのは、北朝鮮との融和を目指す文政権の幹部たちとコード(ウマ)が合ったからだ」と語っていた。

 

これに対し、金鉉宗氏はニューヨークで弁護士業を営んでいた国際派で、文在寅政権で起用されたのも、「米国をよく知る人物」というテクノクラートとしての評価があったからだ。金氏は傲岸不遜な態度で、しばしば日米などの政府関係者から悪評が上がっている人物でもあるが、「外交交渉経験はあるので、日米の政策や国連決議について理解はしている」とも言われる。

このため、金鉉宗氏と崔ジョンゴン氏の対立は、行き詰まりを見せる南北関係の打開策を巡って、国連決議を順守すべきだとする金氏と、もっと北朝鮮に融和的な政策を取るべきだとする崔氏の路線対立が原因だろうと噂されている。

そしてもちろん、どちらが勝つかといえば、大統領府の幹部たちとコードが合う崔氏だろうというのが衆目の一致するところだ。