内閣府が算出した「最悪のシナリオ」これが33年後の現実だ!

「人口8000万人」の日本で起きること
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タワマンもスラム化

16年後の2033年には、全国で2150万戸、実に全住宅の30%が空き家になるという予測もある。2050年にもなれば、さらに空き家の数が増えるばかりでなく、無人の家が各地で放棄され、朽ち果てるがままにされているだろう。不動産コンサルタントの牧野知弘氏が言う。

「空き家の急増は、全国の街に共通する問題です。ただ、これから人口が減っていけば新築の戸数も減るはずですから、戸建ての空き家の数はどこかで頭打ちになるのではないかと思います。

問題は、賃貸住宅の空き家の増加です。現在、資産を持つ人の税金対策として、アパートやマンションがたくさん建てられている。

さらに2022年には、農地の建物新築を制限する『生産緑地制度』が解除され、東京郊外や埼玉など首都圏で、大量の農地を宅地に転用できるようになります。

これを利用して、さらに多くの賃貸住宅が建てられるのは確実。しかし需要は増えませんから、少なくとも2020年代までは、賃貸の空き家が相当数増えるでしょう」

現在でも東京都心では、依然として湾岸エリアに高級タワーマンションが建てられ、30~40歳代の子持ち世帯が続々と入居している。近隣の小学校は、クラス数を大幅に増やし、校舎を増築するほどの活況だ。

牧野氏が言うような、2022年以降に建てられる首都圏郊外の新築マンションにも、一時的には入居希望者が殺到するかもしれない。

しかし、今から33年後の2050年には、こうした世帯の親たちも高齢者となり、子供たちは少なからず実家を離れて暮らしているはずだ。

かつてはピカピカだった建物は老朽化が進み、歯が抜けるように住民がいなくなってゆく。気が付くと隣の部屋に、言葉の通じない外国人が住んでいる――まさに、現在の団地で起きていることの再現が、未来の高級マンションでも起きるのである。

 

加えて前出の松谷氏は「数十年後には、地方都市よりもむしろ都市部のほうが、荒廃がより深刻になる」と警鐘を鳴らす。

「地方都市では、すでに人口減少と高齢化が始まっているので、衰退のスピードがある時点からグッと緩やかになります。たとえば秋田県や島根県などでは、2040年までに高齢者数が減少に転じるとみられています。

一方、大都市圏は今のところ高齢化が緩やかですが、これまで流入してきた若い世代が2020年代以降、一気に高齢者になり始めます。東京では、2010年に268万人だった高齢者数が、2040年には412万人と1.5倍になる。対する現役世代は841万人から671万人と、200万人近く減るのです」

今後数十年スパンでは、荒廃した地方の街から、やむを得ず近隣の都市部へ移住する人も増えてゆくだろう。しかし、都市には鉄道・地下鉄や道路網、電気・水道・下水にインターネット、さらには警察・消防など、複雑なインフラが欠かせない。

「ある時点から一気に高齢化が進む都市部では、税収が急減し、自治体が機能不全に陥って、こうしたインフラが維持できなくなる。いわば『スラム化』するおそれがあります」(前出・松谷氏)

夕方になっても、路上にはゴミ袋が山積みで放置され、カラスが群がってついばんでいる。切れた電線が垂れ下がって火花を散らし、道路のガードレールは車がぶつかってひしゃげたまま。

道路の高架は鉄骨がむき出しになり、図書館などの公共施設はゴミと落書きだらけ。119をダイヤルしても、救急車は一向に現れない。

自転車に乗っていると、警察官が「お前の自転車、盗品だろ」と因縁をつけてきて、賄賂を要求する――。

行政が機能しなくなるというのは、つまりこういうことだ。「スラム街」なんて海外にしかないものと思っているわれわれ日本人も、認識を改めざるを得なくなる。

それだけではない。人口が激減した2050年の日本では、長年にわたり豊かさの象徴だった「外食」や「夜遊び」さえままならなくなっているかもしれない。

あまり知られていないが、総務省の調べによると、日本の飲食店数は1991年に記録した約85万店をピークに右肩下がりに減り続け、ついに2012年には約40万店となった。すでに四半世紀前のバブル期に比べ、半減しているのだ。

バーやスナックといった「夜の店」も、1990年代までおよそ20万軒を数えたが、現在では5万軒あまりに激減している。

このペースで減り続けると、今後さらに四半世紀が経ち、2050年を迎えるころには、「レストランはさらに半減」、「バー、スナックは絶滅」という世の中になっていても不思議ではない。