「1ヵ月後の巨大噴火を予知」そのとき、原発をどうするか?核燃料棒の取り出しは、とても間に合わない

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また九州の北半分から中国・四国、大阪を含む広い範囲で、50㎝以上の火山灰が積もる。火山灰は雪とちがって、やがて融けて流れていくものではない。鉄道を始めとする交通機関は完全にマヒ。木造家屋が次々と重みで潰され、上下水道設備も停止。火山灰は電気設備に入りこむと漏電、ショートを引き起こして、大規模な停電も発生する。

道路は寸断、飛行機のジェットエンジンやヘリコプターのローターも機能しないため、東京を含む本州全域で、長期間、外部からの救援が入ることはできない。火山灰に覆われ、日光すら遮られた真っ暗な環境で、大混乱が発生、多くの人が何の助けも得られないまま命を落とすことになる。

「100年に1%」という可能性は、巽教授によると、'95年の阪神・淡路大震災が発生する直前までのデータで計算した場合の、'95年以降の「30年間に兵庫県南部地域で大地震が発生する確率」と同程度と考えてよいという。

「つまりは、いつこうした噴火が起こっても、統計的にはおかしくないということになります」(巽教授)

火山灰に埋もれてしまう

巽教授は「今回の発表は特段、川内原発の問題を意識して、このタイミングに行ったものではない」と話すが、いやが上にも、今後、原発が火山の影響を受けるのは必至と思える結果だ。

再び2ページの地図を見てほしい。この予測では、阿蘇カルデラからの火山灰は西から東に向かって吹く風に流されて、主に北九州から中国・四国方面に降り積もり、川内原発は10㎝以上20㎝未満の降灰エリアに含まれる。安全審査では、原発の施設設備は15㎝までの降灰に耐えればよいとされ、ぎりぎりセーフとも見えなくはない。だが、風の流れが計算と多少でも違えば、より多くの火山灰が到達するのは明らかだ。

火砕流による混乱の影響は避けられない。川内原発を管理・運営する九州電力も、福岡市内の本店などが甚大な被害を受け、いざカルデラ噴火が起こったあとに川内原発で危機が起これば、対処がスムーズに行われるとは到底考えられない。

巽教授は、「政府の原発政策を批判する気持ちから言うのではない」と前置きしつつ、こう話す。

「川内原発で、九州電力や原子力規制委員会は、火山活動はモニタリング(継続監視)できるから、危ないときには事前に分かるというような主張をしています。しかし、火山学会や専門家は、現状では噴火の完全な予測はできないと、はっきり言っている。客観的に見て、現状では無理なんです。

ですから、そういう技術は、これから開発しないといけない。さらに、九州に多くの観測点を設けていかなければいけない。言うのは簡単ですが、実際にやるとなると大変です」

九州には、今回シミュレーションが発表された阿蘇以外にも、巨大カルデラ噴火を起こす可能性のある火山がひしめきあっている。