第1部プロ野球のドラフト1位たちが告白「これで終わった」自分の心が折れた瞬間

有名スポーツ選手たちの苦悩と悔恨
週刊現代 プロフィール

 ドラフト1位の超エリートたちでも、これだけ苦しむのだ。下位指名の選手の苦難はいかほどか。'02年の福岡ダイエーホークス(当時)4巡目指名、溝口大樹(28歳)の告白は衝撃的だった。

「和田毅さん、新垣渚さんに続いて指名された時点で自分が凄くなったと勘違いしてしまいました。自分より下の5巡目が全日本にいた大野(隆治・日大)さんだったので、俺はあの人より上なんだ、と」

 

 最速147のストレートと130台の高速スライダーが武器で、当時のドラフトでは東北高の高井雄平(現ヤクルト)と並び称される逸材ではあった。

 だが、鼻っ柱はいきなり折られた。

「1月の和田さん、新垣さんらとの新人合同自主トレで圧倒的な差を見せ付けられましたね。ランニングメニューで自分はヘロヘロになっているのに、和田さんたちは自主練でまた走っている。しかも笑顔で。母校の戸畑商業は公立校でグラウンドは狭く、ナイター設備がない。朝練もほとんどなかった。基礎体力が全然違ったんです」

 メンタルヘルスの本や野村克也氏の著作を読み、自らを奮い立たせるような文言を見つけてはノートに書き出した。眺めて気持ちを盛り上げた。

「でも、グラウンドに行くと練習についていけない。またショックを受けて、以前の自分に逆戻りする。その繰り返しでした」

 春季キャンプが終わり、福岡に戻った直後、事件が起きる。同期入団の選手と寮を抜け出して遊びに行った際、交通事故に遭って右足を負傷。練習どころか、寮から出ることすらできなくなったのだ。球団から大目玉を喰らい、精神的に追い込まれて胃潰瘍を患った溝口。軽いキャッチボールができるまで回復した6月、再び事件が起こる。

「気が動転していたのか、あまり記憶がないんですけど、部屋の荷物をまとめて段ボールに入れ、送り先を書いた後、寮の2階の部屋から飛び降りました。

 家族や友達には相談……できなかったですね。地元に帰れば『お前は俺たちの代表だ!』って期待値がハンパなくて、とても言い出せなかった」

 体力不足とはいえ、147は誰でも出せるスピードではない。野茂英雄のような鈍感力が溝口にあれば、あるいは—。