「飼い猫をひとりでお留守番をさせるのがかわいそう」と2匹目の猫を迎え入れると、相性次第で先住の猫がストレスを抱えることになってしまう理由は、猫編「『一人ぼっちは可哀そう』だからともう一匹飼うのは、猫にとってはありがた迷惑? 」でお伝えした。単独行動が習性のネコ科にとって「自分の部屋に見知らぬ奴が入ってきた」、「トイレに入ろうと思ったら先に入られた」を不快に思う感覚は、人間に通じる所もあり理解しやすい。一方で群れ行動が基本の犬ならば、事情は違うのだろうか。動物行動学が専門の高倉はるか先生に聞いた。 

飼い猫のために「もう一匹飼ってあげる」のは、飼い猫のためになるのかについては、猫編「『一人ぼっちは可哀そう』だからともう一匹飼うのは、猫にとってはありがた迷惑?」で。

2匹はなぜ仲が悪いのか

犬の複数飼いは猫よりは向くとは思います。ただ複数の犬が一緒に暮らせば優劣がつきます。どちらかが優位の立場になり、いろいろな場面で優先権を持つのです。それを飼い主が認め、順位に合わせた扱いができるか。そこがポイントになると思います。

20年ほど前のこと、ラブラドールのメス犬2匹を連れた飼い主さんから受けた相談です。日頃から小競り合いが絶えず、飼い主さんが留守にすると、互いに血を流し、耳がちぎれるまで喧嘩をするので何とかしたいとのこと。なぜそんなに仲が悪くなってしまったのでしょう。原因は2つありました。

-AD-

一つは2匹がメス同士であることでした。一般的に異性に比べ、同性の方が争いが起きやすいのです。オス同士の場合は順位をめぐって、メス同士は餌を先に食べたい、飼い主さんに先に近づきたいなど、こだわるところが重なるとバチバチします。またメスは順位をはっきりさせないところがあり、それも争いの種になっていました。

子犬のうちは仲が良くても、自我が出るにつれていがみ合うことも。Photo by iStock

もう一つの原因は飼い主さんの態度でした。
複数の犬が一緒に暮らしていると、力の強い犬や気の強い犬はチャンスがあれば優位に立とうと挑みます。勝った犬は餌をもらったり、飼い主に撫でてもらうときの、優先権を得ます。そうなった時は、飼い主も犬の優劣を尊重し、優位の犬を優先しないとなりません。でもその飼い主さんは、2匹の犬を同じように扱っていました。そのため優位の犬は不満を持ち、劣位の犬は自分の順位に混乱しているようでした。