ピン芸人、NHKのディレクターを経て、社会問題やSDG、政治について発信する時事YouTuberとして活動している、たかまつななさん。2016年の18歳選挙導入の年から「笑下村塾」という会社を立ち上げ、これまで全国の学校や企業の約6万人に対し主権者教育やSDGsに関する出張授業を行ってきた。

そうした活動を行う中でたかまつさんが感じているのが、日本の若者の政治との距離。参院選の公示(6月22日)が間近だが、参院選の投票率は低下傾向が続いており、前回(2019年)も10〜30代の若い世代の投票率は中高年世代よりも著しく低く、40%を切っている。

一方、たかまつさんが現在、日本との二拠点生活を行っているイギリスでは近年、若者の投票率が上昇傾向にある。また、若者の右傾化が指摘されている日本とは対照的に、若者の左傾化が顕著になっているという。この違いの背景にあるものは何なのか。たかまつさんがイギリスの政治学者、キア・ミルバーンさんに取材した内容をもとに綴ってくれた。

たかまつななさん

※以下、たかまつさんによる寄稿。

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左傾化する、英米の若者たち

近年、イギリスやアメリカを中心に若者が世界的に「左傾化」しているという。その背景を解説する『ジェネレーション・レフト』という本の著者である政治学者のキア・ミルバーンさんに、先日話を聞く機会を得た。

イギリスで若者の左傾化が顕著に表れたのは2015年、労働党の左派のリーダーだったジェレミー・コービンが労働党の党首に就任したとき。そしてアメリカでもほぼ同時期の2016年、バーニー・サンダースが民主党の大統領選挙の候補者になろうとしたとき、多くの若者の支持を集めた。このように、左派に魅力的なリーダーが登場したことで若者が左傾化する、という傾向はイギリスやアメリカ、そして西ヨーロッパの国々でも共通しているという。

2016年、サンダースを支持する若者た〔PHOTO〕Getty Images

また、若者の左傾化には、彼らを団結させる「世代共通の課題」があることも一因だと、ミルバーン氏は指摘する。世代共通の課題とは何か。その1つが、気候変動問題だ。「カーボン・バジェット(炭素予算)」という、温暖化を抑えるためにあとどのぐらい二酸化炭素を排出できるかという上限値があるのだが、上の世代がそのカーボン・バジェットの多くを消費してしまったために、若者たちにはあまり残されていない。そしてもう1つの共通課題が、日本と同じく低賃金労働問題。イギリスでは2008年の経済危機以来、賃金は上がらないのに、家賃や電気料金などが上がり若者の生活が苦しくなったことが共通の課題意識としてある。一方、高齢者は株や不動産などをもち、それらの資産価格の向上のほうに関心がある。

こうした政治における世代間の分断を背景に、若者世代特有の問題について「私たちが対処しますよ、みなさんの抱えている問題に目を向けますよ」というメッセージを発信する政治家の登場によって、若者の左傾化が進んでいったのだという。