八王子中2女子いじめ自殺事件 娘を失った父親が学校から受けた「屈辱的対応」

学校側は「金銭を要求してください」
高木 瑞穂 プロフィール

謝罪しない当事者たち

2019年9月、多摩市内にある菩提寺で陽菜の一周忌法要が執り行われた。僕は久しぶりに陽菜の両親と再会した。学校関係者の参列者はひとりもおらず、両親は無下にされ続ける現実を受けとめられないでいるようだ。当然だろう。前述したように、一周忌法要の直前に、陽菜の自殺に関して八王子市が調査した報告書が公表され「いじめと不登校の間に直接的な関連性がある」と認定しながらも、「自殺との直接的な関連性は認められない」と結論づけられていたからだ。報告書はその根拠として、いじめ発生から亡くなるまで「一定期間が経過していたから」と記す。“一定期間”の裏で、どれほど陽菜が苦しんでいたのか。スマホに届く凄惨な言葉群に心を痛め、それでも彼女は必死に生き、家族も支えていたのだ。

 

「長引いたからいじめが原因とは認められない。それは違うだろうと。長引いたのは学校のせいでしょ。学校がちゃんとした対処をしなかったからでしょ」

ボランティア団体のイベントを楽しむ洋さんと陽菜さん

そんな洋の思いとは裏腹、学校側の体質は変わることはなく、真実は隠蔽されようとしていた。

「こんな結論を出したら第二、第三の陽菜が絶対に現れる。もういじめで子供を亡くす社会は止めなきゃダメですよ」

両親はすぐに再調査を求めた。そして。

2021年5月14日に公表された第三者委員会による結論をまとめると、以下のようになる。

──いじめと、その後の学校の対応が自殺の原因。自死の直接の原因となった心理的苦痛等に一定の影響を与えたものと考えられる──

陽菜の自殺から3年近くもの時間を要したが、議論は煮詰まり、ついには旧態依然とした行政の秩序に抗う報告がなされたのである。だが、決して一件落着とはいかない。すでに成人しているはずの主犯、部活の顧問、担任、校長たちからの謝罪が未だにないのだから。

                               〈文中敬称略〉

   『日影のこえ メディアが伝えない重大事件のもう一つの真実』(鉄人社)より

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