八王子中2女子いじめ自殺事件 娘を失った父親が学校から受けた「屈辱的対応」

学校側は「金銭を要求してください」
高木 瑞穂 プロフィール

学校側の提示は「金銭を要求してください」

1年後の2019年8月30日、教育委員会の調査部会(第三者委員会)は「いじめはあったが、時間が経っていることからして自殺との関係はなし」とする報告書を公表した。

「もしかしたら、何か些細なことで陽菜にプレッシャーをかけてしまっていたのかもしれない。でも本当に思い当たることはありません。だから後悔が尽きることもないんです」

第三者委員会によるいじめ認定後も尽きない洋の後悔とは、学校側の対応である。いじめの元凶を根絶やしにしてくれていたら娘が自殺することはなかったのでは。なぜ、まともに取り合わず、そして未だにその不備を認めないのか。その後も訴え続ける洋に学校側は、あろうことか追い討ちをかけてくる。

「新任の校長が弔問に来るたびに『何か言ってください』って言うんです。『何かって、何なんですか?』って聞いたら『要求をしてください』と。『要求って何ですか?』って聞くと『だから、例えば金銭とか』って」

金の話が出るなど、洋からすれば寝耳に水だったことだろう。しかし、彼はあくまで一般論として言い返した。普通だったら成人式とか結婚式で200万、300万はかかるところ、娘は早くに死んだ。だから葬式も出さなきゃいけないし、晴れ姿を見ることもできなかった。

あまりのしつこさから嫌味たっぷり放ってやった、までだ。だが、父親から金の話が出ると校長は“待ってました”とばかりに「わかりました!」と声を弾ませ「そしたら」と続けた。

「副校長と部活の顧問を来させますので、そういうことを言ってください。私からも伝えておきますから」

確かにふたりは来た。おそらく校長から金のことを聞いてのことだろう。

「今回の件は自分たちが悪かった、そうふたりとも言ったんです。私は謝ってくれさえすればよかったんですが、お金のことについても、ふたりで払いますと」

ようやく学校側が非を認めた。洋は安堵する一方で、おそらく学校側は最初からいじめが自殺の原因であることを知っていたに違いないとも確信した。しかし、実はこの会談が、さらなる追い討ちとなる。

「こういった案件に関しては、個人が、先生だったりが、金銭で解決することはないんですよ」

校長と部活の顧問はのちに教育委員会の人間たちを従えて自宅を訪れ、息巻いた。そのとき、娘を亡くした日以来に涙が出た。陽菜の死を何だと思っているのか。学校側は「以前の話って録音していませんよね」とまで言い出す始末だった。

 

通常、このテのことで個人から賠償金が支払われることはない。冷静に考えればわかることだった。ために、迂闊な発言だったことは確かだろう。だとしても、どこまで人をコケにすれば気が済むのか。学校側だけではない。いじめの主犯者までもが洋に屈辱を与えてきた。

「親から現金書留が届いたんです。謝罪か、せめてお悔やみが書かれた手紙でもあるのかと思ったら、他には何もない。馬鹿にされてるとしか思えないですよね」

中にはわずか現金5千円だけが収められていたという。

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