八王子中2女子いじめ自殺事件 娘を失った父親が学校から受けた「屈辱的対応」

学校側は「金銭を要求してください」
高木 瑞穂 プロフィール

SNSでの中傷は止まらず...

思いに応えるように陽菜が笑顔を見せるようになり、「学校に行きたい」と言うまで回復したのは、年が明けた3学期が始まる頃である。両親は悩み、判断した。いじめ問題は解決していない。このまま以前の学校に通わせることはできない。

陽菜は市内の、別の中学校に転校することになる。環境が変われば、もういじめられることはないのでは。また新しい友達たちと楽しく学校生活が送れるのでは。娘の幸せを願った最善の策である、はずだった。

だが、SNSを介した陽菜への中傷は、その後も止まらなかった。元気よく登校したかと思えば「行きたくない」と家で塞ぎ込む。陽菜の精神状態は一進一退を繰り返した。ただ、新たな環境のおかげか、以前より笑顔の数が増えたのは間違いない。となれば、推移を注意深く見守るしかかないのか。

 

「そのまま2年生の1学期が終わり、夏休みになりました」

登校するプレッシャーから解放された陽菜は、ボランティア団体の集まりに参加するなど「夏休みを満喫しているようにも思えた」と、洋は言う。しかし8月28日、陽菜は期せずしてJR西八王子駅のホームに立つ、苦海に沈む胸の内を件の遺書に記して。

自宅の電話が鳴ったのは、その日の夜のことだ。

「八王子警察署の者です。陽菜さんのお父さんでよろしいですね」

なぜ警察から連絡が? 考えを巡らせるも思い当たるフシはない。

「陽菜さんが電車に飛び込み、意識不明の状態です」

突然の知らせだった。前日8月27日、陽菜は洋と一緒に買い物に出かけ、家族と食卓を囲んでいた。いつもと変わらぬ日常だった。

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