八王子中2女子いじめ自殺事件 娘を失った父親が学校から受けた「屈辱的対応」

学校側は「金銭を要求してください」

ノンフィクションライター・高木瑞穂氏とフリー映像作家・我妻憲一郎氏主幹のYouTubeチャンネル『日影のこえ』による最新刊『日影のこえ メディアが伝えない重大事件のもう一つの真実』(鉄人社)が話題だ。同書のなかから「八王子中2女子いじめ自殺事件」の内容を前編に続いて紹介する。なお、文中で使用される「僕」は高木氏と『日影のこえ』取材班の総称である。

2018年8月、駅のホームから線路内に飛び込み、13歳で命を絶った永石陽菜さんは、些細なことをきっかけに部活の仲間たちなどからいじめを受けていた。父・洋(ひろし)さんが愛娘を失った悲しみ、そして学校側の酷すぎた対応について明かす。

学校は取り合ってくれなかった

暗澹たる当時の思いを滲ませながら洋は言う。

「夕方、家族でご飯を食べてますよね。するとスマホにメッセージが届くんですよ。陽菜は『また来た』って言って不機嫌になる。あとから知ったんですけど、娘のアカウントが学校中に広まり、知らない人からも『クズ』などの暴言が届くようになったんです」

いじめを受ける前は頑張り屋で前向きだった陽菜さんいじめを受ける前は頑張り屋で前向きだった陽菜さん

鳴り止まないスマホのメッセージに両親は再び学校を訪ねるが、部活の顧問は話の途中で席を立ったまま戻らず。担任にしても、不登校の児童生徒向けの学校への転校を勧められるなど、教育者たちは目の前で起きている事態に目を背けるばかりで全く取り合わなかったそうだ。

「もうこの学校はダメだと思いましたね」

洋が漏らしたあきらめに似た愚痴の真意を代弁するかのように、母・幸子は溢れ出る涙を隠そうともしない。2学期の中頃に陽菜は、ついに不登校になった。

 

不登校の子供を抱える保護者は、無理にでも学校に通わせようとする者と、子供の意思に任せる者とがいる。多くが後者を選ぶように、また陽菜の両親も子供に委ねて経過を見守ることにした。以前の明るい娘に戻ってくれさえすれば、それでいい。そもそも義務教育の義務は、子供が教育を受ける権利を主張したときに、それを拒否できない“親の義務”なのだから。 不登校の子供たちが集まるボランティア団体を見つけてきたのは、ほかでもない陽菜だった。

「家に引きこもっていた娘が、自ら行きたいって言ってきたんですよ。嬉しかった。送り迎えなど苦になりませんでした」

少しずつでいい。いつか以前の陽菜に戻ってほしい──。両親は心から願った。

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