文部科学省の調査によると、2020年度の小・中・高等学校等における不登校児童生徒数は23万9178人と過去最多だ。不登校になる子どもが年々増えているからこそ、必要なのが家庭へのケアだ。学校に通いづらさのある子の親のグループを作った親たちと、その親たちと協力した教育長にジャーナリストの島沢優子さんが取材をした。どのような「道しるべ」が必要なのだろうか。

島沢優子さん連載「子育てアップデート~子どもを伸ばす親の条件」これまでの記事はこちら
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1年生の途中で登校を渋るように…

小金井市の市立小学校に小学5年生の息子を通わせるマミさん(以下カタカナ名は匿名)は、学校に通いづらさのある子の親のグループ「カラフル」の世話人のひとりだ。カラフルという名称は「子どもは一人一人違う色を持っていて素敵だよ」という願いを込めた。

マミさんの息子は小学1年生の途中で、登校を渋るようになった。
マミさんが校舎の玄関まで連れて行っても、先生たちは素通りしていた。担任は心配そうに駆けつけ「行こうよ」と声をかけてはくれるが、息子の足は地面に張り付いたまま動かない。チャイムが鳴ると担任は行ってしまうので、なんとか教室まで連れて行く。当時まだ1歳に満たない下の子を抱っこ紐で体にくくりつけ、1年生の息子の手を引いて何とか届けた。息子に「お母さん来て」と言われ一緒に教室へ入る。それが日常だった。

水筒やおむつなど重い荷物をもって下の子を抱きかかえたまま、教室の後ろで授業を見守った。腕や手がどんどんしびれていく。下の子がぐずったりすると、廊下に立たなくてはならない。1時間目から給食が終わるまで立ちっぱなしのこともあった。新任の担任は、授業を進めるのに必死で、マミさん母子に思いをはせる余裕がないのはわかっていた。

どうしても赤ちゃん連れの荷物は重くなる Photo by iStock

「先生は頑張っていたと思います。ただ、他の先生がサポートしてくれてもいいんじゃない?と、心のなかでは思っていましたね。学年主任の先生も声はかけてくれたけれど、授業になれば教室に行かなくてはいけません。本当につらかったですね」

学校にはたくさんの子ども、そして、たくさんの教職員がいる。親だって出入りする。だが、誰もが自分の存在をスルーしている。そんな孤独をマミさんは味わった。

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