親が認知症になる。それだけで心配事が増えるけれど、コロナによってその不安が倍増した人は多いのではないだろうか。コロナの感染拡大を機に実家へ戻り、それゆえに母の変化に気づいたにしおかすみこさんは、まさにその渦中にいた。

ただ、認知症という診断を受けながらも、にしおかさんの母親は「対策をしなきゃ」という意識を強くもっていたようだ。前編「ゴミ屋敷発覚から1年、にしおかすみこがハサミを手に立つ認知症母を前に思ったこと」では母親がコロナのニュースにも敏感になって「ママ速報」を毎朝にしおかさんに送ってくること、感染対策や風邪をひかないように心配していることなどをお伝えした。後編では、にしおかさんが仕事に行く朝、小雨が降る中で見送っていた(その言動にまた別の意味もあったのだが)母親が体調を崩した夜のことをお届けする。

この写真の真相は前編に 写真提供/にしおかすみこ
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母が寝込んでいた

仕事を終え22時過ぎに帰宅。母が寝込んでいた。
「風邪引いた、だるいだけ、たいしたことない」と。今朝の雨でか?……もっと前からか? 本当に風邪か? 母姉父の3人はつい先日、コロナのワクチン接種を2回済ませてはいる。

だるいだけにも見える……どこか違和感がある。フワリフワリとした顔? 喋りか? 間か? 何だろう……何かがおかしい。
いや、また私の過剰な見当違い発令か。

ふと、母の枕元やベッドの足元に何種類かの、薬袋、箱からはみ出たプラスチックの錠剤シートが転がっているのが目に留まる……シートの殻が……多い。

それらを回収しながら、母から話を聞き出しているうちに、どうやら夕方、家にあった市販の解熱剤を飲み、それを知らずに父が、以前どこかの病院でもらった自分の風邪薬の余りを母に渡し、それも飲み、姉が病院で定期的に処方してもらっている睡眠剤と下剤をも誤飲しているようだと分かり、サッと血の気が引いた。

Photo by iStock

どうしよう。まず……なんだ……何をすればいい?
時間的にも吐かせるのは無理だ。
急いで体温計を持ち出し「熱測るよ」と母の脇に滑り込ませると「熱なんかない! コロナじゃない! こんなもん! エイ!」と取り出し壁に投げつける。カレンダーにパシッと当たり床に落ちる。私が拾って、母が投げる。ダーツじゃねえんだ。