深海で妖しく輝く「発光ザメ」がいた! なぜ光る? どう光る?

44万個の発光器をもつツワモノも!
山本 智之 プロフィール

「青く光る」理由

それは、同種の個体どうしのコミュニケーション、そして、異性へのアピールだ。

ヒレタカフジクジラの近縁種であるフトシミフジクジラ(Etmopterus splendidus)も、よく似たパターンの発光をする。ただし、発光する部位はヒレタカフジクジラとは異なっている。

また、同じ種でも、オスとメスとで発光部位が異なることもわかっており、繁殖の際のシグナルとして光が利用されている可能性が指摘されている。

サメの視覚は、光の波長でいうと480nm前後の青色に、最も感じやすいピークがある。そして、光るサメたちが発する色もまた、青色だ。

【写真】フトシミフジクジラ(上)と発光する腹部フトシミフジクジラ(写真上)と発光するその腹部(写真下)(いずれもジェロム・マルフェット氏提供)

佐藤さんはこう話す。

「サメのオスには、交尾の際にメスの胸ビレに噛みつく習性がある。フジクジラ類は胸ビレの縁が強く光るが、これは、オスがメスと交尾する際の目印になっているのかもしれません」

「光る液体」を放出するサメも

さらに、佐藤さんらの研究チームは2019年、ベルギーの大学との共同研究で、フジクジラ類が発光する理由について新説を論文に発表した(https://zoologicalletters.biomedcentral.com/articles/10.1186/s40851-019-0126-2)。

ヒレタカフジクジラやフトシミフジクジラの背中の発光パターンを詳しく調べたところ、背ビレにある2本の鋭いトゲの周囲に発光器が密集し、トゲを照らし出すように光っていることがわかったのだ。このことから、「フジクジラ類の発光には、トゲを照らして"警告"を発することで、捕食者から身を守る役割もあるらしい」(佐藤さん)という。

フジクジラ類は腹部が最も強く光り、海底をぼんやりと照らすことができる。エサを探すときの"補助光"として、光が役立てられている可能性もある。

世界の海を見渡すと、光るサメのなかには、腹ビレ付近から「光る液体」を放出するものもいる。こうした習性は少なくとも2種のサメで知られており、光で敵を驚かせたり、敵の注意をそらしたりして、そのあいだに逃げるのに役立つと考えられている。いわば、光による「目眩まし戦略」だ。

謎に満ち、話題に事欠かない光るサメだが、2021年には新たなトピックが発表された。

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