2022.06.24
# 世界経済

ナポレオン大陸封鎖令の大ブーメランに学ぶ経済制裁で自滅する歴史

今回もロシアの反逆が鍵になるか

インフレ、資源エネルギー不足で経済制裁を行う愚

5月29日公開の「戦争と米国の存在感の時代こそ日本は『のび太+ドラえもん』で行こう」や、6月18日公開の「国力下り坂の米国が没落して『世界戦国時代』がやってくるのか」などで、米国・バイデン政権が「ジャイアン」のようにふるまっていることを述べた。

その被害を受けているのが、日本を始めとする「(米国のように)エネルギー・資源を自給できない国々」である。

by Gettyimages

例えば日本経済新聞6月9日の記事「食料輸出規制、20カ国に 侵攻が自国優先に拍車」がある。現状を考えると、これらの国々を非難することはできない。

ウクライナ侵攻に絡んで「ホロドモール」が有名になったが、「自国民が飢えに苦しんでいるのに、外貨稼ぎのために輸出をする」などという行為は許しがたいことである。

したがって、カロリーベースでたった37%の食料自給率(農林水産省資料)という日本は、これからかなり厳しい局面を迎えざるを得ない。

現在、1970年代オイルショック再来の様相を呈しているが、今回は「食料ショック」の加わる厳しい状況になりそうだ。

そして、すでにロシアにエネルギーを依存しているドイツを始めとする西欧諸国は深刻な状況に陥っている。

6月16日のAFPBBニューズで「ロシア、ドイツへのガス供給さらに削減 独政府は『政治的』と非難」と報道された。しかし、もしこれが仮に政治的なものであったとしても、ロシアに米国と共に「経済制裁」を行っているだけでなく、ウクライナに武器支援を行い(ロシアを敵視した)軍備拡張を明言しているドイツは文句を言える立場にはない。特大ブーメランを食らったということである。

まだ気候が暖かい現在はましだが、冬の寒さの厳しい国々では、暖房用のエネルギー不足は高齢者を始めとする人々の生死に関わる問題になりえる。

また、6月10日の日本経済新聞「アフリカ連合議長国、ウクライナ機雷除去要請 飢饉懸念」によれば、「ウクライナによる機雷設置」によってアフリカの飢饉が引き起こされるかもしれない。

 

例えば、OECDによると、マダガスカルやチュニジアはトウモロコシ輸入の半分以上をウクライナに頼るほか、モンゴルやアゼルバイジャンは肥料輸入のほとんどをロシアに依存している(野村総研「OECDは物価見通しを2倍に上方修正 ウクライナ侵攻は世界経済と国際協調体制に深刻な打撃」)。

このような状況の中で、「第3次世界大戦」は戦わないが「経済制裁でロシアを痛めつける」バイデン政権の手法は、(エネルギー・資源を自給できる米国は別にして)世界の大部分の国々に惨劇をもたらす。

ジョー・バイデン氏は、かつてのナポレオンの「大陸封鎖」という愚策を反面教師にして学ぶべきではないだろうか。

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