梅雨時になると、動物病院は子猫で賑わう。春に妊娠した地域猫たちが子猫を産み、親とはぐれてしまった子猫を拾った方が来院するからだ。実際子猫を拾った方は以前掲載した記事も参考にしてほしい。

子猫や若い猫を飼っている方はまだ考えられないかもしれないが、猫は人間より早く年をとる。いつかはシニアになるときが来るのだ。猫種にもよるが、大体7歳ごろから病気が増え始める。これは人間の年齢で言うと40代後半くらい。人間もそれぐらいの年齢になると不調が出やすくなるが、猫もそれは同じだ。

シニアになってから慌てないために、早めにフード対策やケア習慣をみにつけておくことが肝心だと、獣医師で作家の片川優子さんはいう。今日からすぐに実行できる「愛猫の長生きケア」を寄稿してくれた。

飼い主よりも早く歳をとる猫。7歳を目安にシニア対策は早めに考えたい。photo/iStock
片川優子さんの連載『ペットと生きるために大切なこと』
今までの記事⇒こちら

以下、片川さんの寄稿です。

-AD-

ドライフード以外も食べられる習慣作りは大事

猫は、小さい頃に身についた習慣を変えるのが難しい動物だ。野生下では親から与えられたものは安全なもの、それ以外のものは害のあるもの、と判断するという説もあり、子猫のうちに食べたことのないもの、若い頃に食べつけていないものを、シニアになっていきなりあげても食べないことが多い。

顕著なのがウェットフードだ。ごく小さい子猫のうちは離乳食でウェットフードやミルクでふやかしたドライフードを与えられていても、その後ドライフードしか与えないと、一生ドライフードしか食べなくなる可能性がある。

もちろん、総合栄養食と書かれたドライフードであれば、それだけ食べていても問題なく暮らすことは可能だ。しかし猫は水を飲むのが苦手で、尿もできるだけ濃縮して排泄するような仕組みになっているため、泌尿器系のトラブルが多い。過去に猫の排尿トラブルに関して記事にしたことがあるが、年齢に関係なく尿石症や膀胱炎になることもある。また、猫はシニアになってから慢性腎臓病のリスクが高くなる。こちらに関しても過去に記事にしている。

photo/iStock

これらの泌尿器系疾患の治療には、病院が処方する食事療法食へのフード変更やウェットフードの給与が有効になるのだが、「特定のフードしか食べない」「ウェットフードは食べない」という猫では、治療がうまくできず、膀胱結石を除去する手術をしなければならなかったり、点滴のため週に何度も病院に通わなければならなくなったりする可能性もある。

それを避けるために有効なのが、ドライフードとウェットフードの両方を与える「ミックスフィーディング」いろんなフードを日頃から食べさせておく「フードローテーション」だ。

我が家の猫も、ドライフードの他に、毎日1袋のウェットフードを2頭で分け合って食べている。また、ドライフード、ウェットフードともに、定期的にメーカーや種類を変えている。ミックスフィーディングを始めてから、顕著に尿量が増え、効果を実感している。ドライフードに比べるとウェットフードは高価ではあるが、できれば若いうちから、定期的にウェットフードをあげて、病気の予防をするのがよいだろう。

フードローテーションは、別のメーカーでも良いし、同じメーカーの別の味に変更するだけでも構わない。例えば肉メインのフードと魚メインのフードを交互に食べさせるだけでも良い。そうすることで、特定のフードしか食べなくなることを防ぐだけでなく、いろんなタンパク源を与えることで腸内細菌叢にも多様性が生まれる。腸は第二の脳を呼ばれ、非常に大事な臓器だ。腸の調子を整えておくと免疫アップにもつながるので、そういった意味でもぜひおすすめしたい。