塾は堂々と「間違えられる場」である

以前、わたしはこんな話を自身が経営する塾に通う子どもたちにしたことがある。

「いいですか。塾の授業、自習、そして、質問の時間はみんな堂々と間違えてください。なぜか? 当たり前の話ですが、みなさんの成績が伸びるのは『それまで分からなかったことが理解できた』『それまでできなかったことができるようになった』からです。たとえば、これからみなさんにあるテストを課すとしましょう。内容は『九九』です。全員がたやすく満点を取ることができるでしょう。でも、そんなテストをやったところで、みなさんの成績は伸びますか?」

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わたしの話を聞いていた子どもたちは一様にかぶりを振る。

そうなのだ。

自分の足らざる部分を克服するからこそ、学力は伸びるのである。

そんなことを考えると、中学受験勉強で「取り繕う」姿勢は、子どもたちの成績伸長を妨げる役割しかないのである。

わたしの塾では6年生の秋になると、ひとりひとりにスケジュールを組んで、「過去問(志望校の過去出題された問題)」を宿題に課す。その際に提出してもらうのは、「自身で丸付けをした過去問の答案」と「直しノート」である。

「直しノート」とは不正解になってしまった問題を一覧化して、どうして不正解に至ってしまったのか、正しい道筋はどういうものなのかを自身でメモ書きするもの。要は「間違い」に真正面から向き合うためのツールといえよう。わたしたち講師サイドはそのノートをチェックして、びっしり添削をする……そんな試みを何年もおこなっている。