党主席のポストは、毛沢東の死後、しばらくして廃止されました。毛沢東は文化大革命で多くの混乱を引き起こしました。それは彼を個人崇拝したのがまずかったのだという反省から、共産党の「党主席」というポストをなくし「総書記」としたのに、それをまた元に戻すかもしれません。総書記というのは、中国共産党中央政治局常務委員の7人のうちのひとりという位置づけですが、主席になると圧倒的に強い立場になります。
もはや“終身皇帝”となりつつある習近平。中国の今後は、習近平が何をしようとしているのか、その国家構想によって動いていくといえます。

習近平のスローガンは「共同富裕」
大躍進政策や文化大革命で中国が極貧状態になったとき、鄧小平が頭角を現し、「先富論」を掲げて資本主義を導入しました。そうしたら経済は発展したものの格差が拡大し、政府への不満も高まってきた。それをいま習近平は大幅に変え、もう一度、毛沢東のような共産主義の理想に戻ろうとしているのです。
「第2の毛沢東になろう」。毛沢東が平等を目指した結果、中国人は平等に貧しくなってしまった。でも、いまの中国は前と違って豊かになったから、今度は「みんなが揃って豊かになろう」というわけです。
習近平が掲げたスローガンは「共同富裕」です。これはそもそも毛沢東が1953年に提唱したものの実現できなかったことなのです。
そこで格差をなくすために目をつけられたのが資産家です。中国一の富豪だったIT大手、アリババ集団創業者のジャック・マー氏は、講演会で公然と中国の金融当局を批判した直後、しばらく表舞台に姿を現さなくなりました。ジャック・マーだけではありません。不動産王も失踪したり、消息不明になったりしています。