2022.06.20
# 野球

【関係者が証言】"ノーヒットノーラン達成"山本由伸は「野球に対する考え方の深さが別格だった」

弱冠23歳で「投手5冠」
6月18日、オリックス・山本由伸がノーヒットノーランの偉業を成し遂げた。2016年にドラフト4位指名でプロ入りしてから、6年目での快挙達成。なぜ、山本は驚異的なスピードで球界随一の大エースへと飛躍を遂げることができたのか。その要因を考察する。

ドラフト時は「伸びるか伸びないのか分からなかった」素材

山本由伸の2021年は、まさしく『圧巻』のパフォーマンスだった。18勝、勝率.783、防御率1.39、奪三振206、完封4で、史上8人目の「投手5冠」を達成。オリックスを25年ぶりのパ・リーグ制覇へ導く、文字通りの原動力となった。

過去に「投手5冠」を達成した7人といえば、伝説の右腕・沢村栄治(巨人・1937年)に始まり、スタルヒン(巨人・1938年)、藤本英雄(巨人・1943年)、杉下茂(中日・1954年)、杉浦忠(南海・1959年)、江川卓(巨人・1981年)、斉藤和巳(2006年・ソフトバンク)と連なっていく。これらのレジェンド級の投手たちと、23歳の右腕が肩を並べたのだ。

コロナ禍で開催が1年延期となった2021年の東京五輪でも、オープニングラウンド第1戦、つまり日本の開幕となるドミニカ共和国戦、さらに準決勝の韓国戦に先発。どちらも絶対に負けられないという重要な戦いで、ドミニカ共和国戦では6回2安打無失点、韓国戦でも6回途中まで2失点。チームの勝利をおぜん立てする意の“テーブルセッター”を山本が務め、悲願の金メダル獲得への重要な布石を打つ重責も担った。

日本プロ野球界の歴史に、現在進行形で「山本由伸」の名を刻み、かつ、未来へ向かうその進化の歩みを止めないその逸材は、高校時代に甲子園に出場した経験はない。高校最後の3年夏、宮崎県大会も3回戦で宮崎商に敗れている。

「ちょっと心配だったのは、あまりにもスタンダードだったから、これから伸びるか伸びないのか、ちょっと分からなかったのはあるんです。身長が180センチあるかないかくらいだったから、イメージとしても線が細くて、プロに入って、練習についていけるかな、みたいなところはありましたね」 


Photo by Koji Watanabe/Getty Images
 

山本が宮崎・都城高3年だった2016年当時、オリックスの編成部長を務めていた加藤康幸は、山本の第一印象をそう語る。加藤は2014年から3年間、スカウト部門の責任者としてチーム改革に辣腕を振るい、宗佑磨(2014年ドラフト2位)、吉田正尚(2015年ドラフト1位)、杉本裕太郎(2015年ドラフト10位)ら、後の中心選手になっていく逸材たちを続々と発掘していた。

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