2022.06.14
# 日本病 # 円安 # 日本経済

この円安は日本経済復活のチャンスである

「日本病」への処方箋

20年ぶりの1ドル=130円超え。急激な円安はデメリットもあるが、メリットも大きい。この円安を最大限利用すれば、「低賃金・低物価・低金利・低成長」=「日本病」から脱却できるかもしれない――。
新刊『日本病——なぜ給料と物価は安いままなのか』を上梓した永濱利廣氏(第一生命経済研究所 首席エコノミスト)が解説する。

「日本病」をこじらせたのは円高のせい?

そもそもなぜ、今回の円安で日本人はこんなに苦しんでいのるか。それは日本が輸入品に頼る経済構造になっているからだ。そうなったのは、アベノミクス起動前まで異常な円高が続いたことに起因する。

円高になると、海外から安いモノがたくさん入ってくるようになる。消費者としては輸入品を安く買えるのはありがたいが、いくら輸入品が売れても、所得の大部分は国内には落ちず海外へ流出してしまう。また、輸入品が売れた分、国産品が売れなくなるので、結果として日本経済は悪化する。これが、日本の不況が長期化した一因である。

さらに、円高が続いたことで、地方にあった工場が海外に移転してしまった。円高なので海外でなかなか売れないし、安い輸入品が増えるから国内でも売れない。国内で生産するより海外に直接投資して生産したほうが安いし儲かる、というわけだ。生産拠点の海外流出による産業空洞化は、現在の地方衰退を招く大きな原因となった。

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こうして、バブル崩壊後も疲弊したままだった日本経済はさらに悪化した。この頃の円高が、「日本病」をこじらせたと言えるかもしれない。