スタジオジブリ 宮崎駿監督をどう評価するのが正しいのか

村上春樹と並ぶ国民作家
『借りぐらしのアリエッティ』も大ヒット

週刊現代 プロフィール

 そして、驚くべきはデビュー作『カリオストロの城』のような30年以上の月日を経た作品が、いまだ飽きられていないということだろう。ところが、評論家の佐藤健志氏によれば、当の本人は商売っ気を見せない。

「インタビューで面白かったのは、アニメが大人に評価され、文化的な市民権を得たことに、宮崎さんが複雑な気持ちを見せた点。漫画映画と呼ばれ、子ども向けでしかなかった頃をどこか懐かしんでいた」

 評論家の宇野常寛氏が村上春樹との違いを分析する。

「宮崎さんは天才型、村上春樹は秀才型。村上春樹は冷静に落ち着いて計算、分析することで、私たちの日常生活の世界を把握して記述していく。二人は国民作家として並び称されますが、実は好対照だと思います。村上春樹さんは計算で書く人。消費社会が浸透していくと人間の世界観がどう変わっていくかについて書いている。
  それに対し、宮崎さんは大江健三郎さんに近いと思います。自分の肥大したエゴというものを歴史的な問題意識にぶつけている」

 前出の佐藤氏が取材した際、宮崎監督はこんな趣旨の発言をしたという。

「最近のアニメは真剣に受け取られすぎている。単純に楽しんで、ああ面白かった、本来はそれくらいですませてもいいものなんだ」

 作品を、純粋に楽しむ。それこそが、宮崎監督が望んでいることなのだ。