「洋上風力発電」で広がる波紋…! 「利権ベンチャー」擁護に走る「経産省・国交省」の不思議
3ヵ所総取りの三菱商事と惨敗の再エネベンチャー
去年の暮れ、三菱商事のコンソーシアムが本格的な洋上風力発電所の開発権を賭けた大型入札で、3ヵ所の権利を総取りしたことの波紋が広がっている。
惨敗した再エネベンチャー事業者の意を受けた形で、経済産業省と国土交通省がこのほど入札制度の見直し案を公表したのである。
ところが、この案は、これまでよりも洋上風力発電所の早期運転開始を重視するという尤もらしい掛け声とは裏腹に、再生可能エネルギーの普及の最大のネックだった発電コストの引き下げを有耶無耶にしかねないものだ。
前回の勝者である三菱商事だけでなく発電大手のJERAや東京電力リニューアブルパワー、九電みらいエナジー、住友商事などのメジャープレーヤーからも異を唱える声が噴出している。
洋上風力発電の価格が下がらないということは、企業や消費者が支払う電気料金の高騰もしくは高止まりに繋がる。
そうなれば、2050年までにカーボンニュートラルを実現するという国策の実現すら危うくなりかねない。両省の姿勢は国策への造反行為として糾弾されるべきものだ。

洋上風力発電の入札制度の仕組み
まずは、洋上風力発電とそのカーボンニュートラル政策における位置づけを説明しておこう。
洋上風力発電は、名前の通り、海の上に大型風車を設置して行う発電だ。日本は国土の広くない島国で風力発電に適した陸地が限られる半面、海上には強い風が吹く地域も多い。このため、洋上風力発電は今後の開発余地が大きく、再生可能エネルギー普及の切り札として注目されている。
日本では、大手電力会社が既存の原子力や火力の発電所の活用を好む一方で、風力発電所が建設しやすい地域への送電網整備を嫌ったことなどが響き、洋上風力発電の普及が大きく遅れた。
これと対照的に、北海など欧州北部では早くから開発・普及が進み、すでに劇的に発電コストが下がっている。これに中国が目を付け、近年では中国沿岸部でも開発が猛烈な勢いで進んでいることも付言しておきたい。