政治家、学者、評論家はなぜこうも経済音痴ばかりなのか

優秀な国民=自由市場に任せればいい

バイデン氏、安倍氏も

政治と経済は密接な関係にある。一般的に「政治・経済」と一括りで表現されることが多いことからもそれがよくわかる。

だが、それぞれ政治と経済を専門とする人々がお互いに(自分の専門ではない)もう片方の分野のことを熟知している例は極めてまれだといえよう。

まず、経済を専門とする人々は、多くの場合、「政治」=「人間の営み」をきちんと理解していない。

現代経済学の父ともいえるのがアダム・スミスだが、彼は元々道徳哲学の教授であり、当時は「道徳感情論」(筆者書評)の方が「国富論」(筆者書評)よりも有名であった。というよりも、「国富論」は、「道徳感情論」の中の「経済」を抜き出した別冊として出版されたと言ってよい。

アダム・スミス  by Gettyimages

国富論を読むとスミスが庶民の暮らしに極めて詳しかったことがわかるが、そのような人々の生活を含めた政治と経済は一体のものだと考えていた。

ところが、アダム・スミスの後継者を名乗る人々は、「難解な数式」を振り回して経済を人々の暮らし(政治)から切り離してしまった。それが、巷で「経済学は役に立たない」と言われる最大の原因である。

それでは、政治家の方はどうであろうか?「凝り固まったイデオロギー」で経済を支配しようとして大失敗したことで、ベルリンの壁やソ連邦の崩壊を招いた共産主義者たちが経済を理解していなかったことは明らかになったといえよう。

しかし、資本主義国家においても、多くの政治家は「経済を支配」しようとする。「経済」のことをわかっていないからだ。ただ、これは彼ら政治家だけの責任ではない。大部分の経済学者も経済のことをわかっていないから、そのわかっていない経済学者に政治家が翻弄されるという側面もある。

5月15日の日経新聞で、「Amazon創業者、バイデン大統領を批判 法人増税巡り」 と報道された。ジェフ・べゾス氏の言い分はもっともで、「法人税を上げれば、そのコストが消費者に転嫁される」から、インフレ対策としては誤っており、むしろインフレを加速する。

また、5月13日の朝日新聞では「『日銀は政府の子会社』安倍氏の発言、鈴木財務相が明確に否定」と報道された。

技術的、制度的な部分はともかく、現在日銀がまるで政府の「子会社」のように活動していることは大問題だ。中央銀行が「通貨の番人」と呼ばれ「独立性」が強調されるのは、過去において「政治家による愚策」で無謀な通貨供給が行われ惨劇を招いた苦い経験に基づくのだ。

 

安倍元首相は、外交を始めとする政治面では戦後最も優れた政治家の一人だと思うが、「経済音痴」としか言いようがない。

安倍氏が主張するように、「子会社」である日銀が際限なく政府が発行する国債を引き受けたら、昨年10月25日公開「日本は外国に借金していないからデフォルトしないというのは本当か?」の副題「結局、どこかで国民がツケを払う」ということが現実のものになってしまう。

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