予想以上の成果だった「バイデン訪問」…IPEF参加国が多かった「3つの理由」

バイデン政権を待ち受ける課題

IPEFに下馬評を上回る13ヵ国が参加

米国のバイデン大統領が5月22日から3日間の日程で来日、目玉の政治イベントとして、米国主導の新たな経済連携協定「インド太平洋経済連携枠組み」(IPEF)の立ち上げを表明した。

photo by gettyimages

IPEFには、下馬評を上回る13ヵ国が参加を表明。米国が環太平洋経済連携協定(TPP)を離脱して以来、アジア地域での米国の地位低下と中国の影響力拡大を強く意識していた世界を少なからず驚かせた。

しかし、米連邦議会の中間選挙がこの秋に迫り、選挙対策の優先を迫れる中で、IPEFを実効あるものに育て上げられるのか。バイデン政権にとって大きな試練になりそうだ。

IPEFのキックオフから3日後の5月26日、米国のサリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)は声明を出し、南太平洋の島しょ国フィジーがIPEFに参加すると発表した。フィジーも含めると、IPEFの創設メンバーは14ヵ国に膨らむことになる。

折しも、南太平洋地域では米国、豪州と中国の陣取り合戦が激化しており、中国の王毅外相は、フィジーのIPEC参加が発表された26日から10日間の日程で、ソロモン諸島など7つの島しょ国と東南アジアの東テーモールを歴訪することになっていた。

 

米国は、この日にフィジーのIPEF参加を公表することで、中国がこの地域での影響力を拡大するのをけん制したわけである。

対する中国は、バイデン氏が大統領就任後初となるアジア訪問で、日本や韓国を訪問しながら中国を素通りする日程を組んだことを始め、日米首脳会談、日米豪印のQUAD4ヵ国首脳会議、IPEFのキックオフなどを通じて、中国包囲網を形成しようとしたことに神経を尖らせていた。

その表れとして、まず指摘すべきは中国海軍の空母「遼寧」の動きである。「遼寧」は5月1日ごろ、東シナ海から沖縄沖の太平洋に進出。その後、ほぼ20日間にわたって展開し、この間、艦載機の発着艦を300回以上行ったことを日本の防衛省が確認している。

業を煮やした岸防衛大臣は5月20日の記者会見で、中国空母の過去に例のない活動に懸念を表明したうえで、日本周辺の海空域で「警戒監視活動に万全を期す」と強調したほどだった。

中国政府のこうした示威行動には、これまでの慣例を破り、日本と韓国という隣国2ヵ国を歴訪しながら中国を素通りしたバイデン大統領への不満だけでなく、この時期にバイデン大統領の訪日を招聘、QUAD首脳会議の議長国を務め、米国にIPEFキックオフの場を提供した日本に対する強いけん制の狙いも含まれているとみるべきだろう。

 

IPEFについては、キックオフ前日にあたる5月22日、中国の王毅外相が記者会見を開き、「特定の国を意図的に排除するなら間違っている」と米国の動きをやり玉にあげていた。

同外相は、トランプ前政権時代にTPPから脱退するなど、米国は自由貿易に逆行していると指摘、「米国がすべきことは自由貿易のルールにのっとって行動することだ」と皮肉る場面もあった。

余談だが、確かにTPP離脱はアジア地域の経済・通商面で米国の存在感を希薄化させる愚策だった。この点は、王毅氏の指摘が間違っていない。

中国の王毅外相/photo by gettyimages

本来ならば、米国はTPPに復帰すべきところだが、IPEFの創設を打ち出してアジア地域の経済・通商に関与する姿勢を示したことは、失地の半歩挽回と評価できないこともない。

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