「森へ、行きましょう。」Time & Styleの吉田安志さんのこのひと言に誘われて訪れた旭川。天然林では森林の極相を知り、旭岳は森林限界(高木が生育できず森林を形成できない限界線)を教えてくれました。雪に覆われひっそりと静まりかえった森林は心地よく、木々は雄弁。倒木の上に木々が芽吹く倒木更新(寿命や天災などによって倒れた古木を礎にして、新たな世代の木が育つこと)には生命をつなぐ木の意思さえ感じられました。

森は生きている。そこから生まれる家具にも森の命が宿るはず。だから家具は愛おしい。そんな家具が生まれる旭川の魅力、そんな家具を愛する人々の想いにも触れた旅。あなたも森へ、行きませんか。

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「森の極相」を知っていますか?

お話を伺ったのは……
吉田俊也さん
北海道大学博士(農学)
1901年に設立された、北海道大学のフィールド施設「北海道大学雨龍研究林」では、さまざまな事象を対象とした生態系観測を長期に継続。また、研究・教育等の目的に沿ったフィールドの管理を行う。標高175~904m、約250㎢、年間平均気温3.1℃

北半球の真ん中、北緯43~45度の冷温帯から寒帯への移行域に位置する北海道。「雨龍研究林」の針葉樹と広葉樹が共に育ち、自然の推移に任された状態の針広混交林はこの地域の植生の最終段階になる極相林だ。

300年のアカエゾマツ、左・30年のシラカバ。シラカバは広葉樹の中では特に成長が早い。

「世界中の同じ北緯の地域にこのような針広混交林が分布しています。研究林の針葉樹はトドマツ、アカエゾマツ、落葉広葉樹はミズナラ、シナノキ、ダケカンバ、イタヤカエデなど10種類ほどです」(吉田俊也さん)

1971年に植えられた「雨龍研究林」の人工林では、常緑針葉樹のアカエゾマツが育つ。

「雨龍研究林」には人工林と天然林があり、天然林は完全に保護するエリアと、人が択伐などの方法で利用するエリアに分かれている。1ヘクタール内の全ての樹木の長期観察を行っている箇所もある。

「日本は国土面積の3分の2が森林で、その半分が人工林です。日本人は高度成長期に天然林を次々と人工林に変えてきましたが、そのほとんどが針葉樹。広葉樹に比べて成長が早くてまっすぐ育つなど、比較的育てやすいことが理由でした。近年は広葉樹の価値が見直されて需要が高まっていますが広葉樹の人工林は全体の数%。天然林が多い北海道での広葉樹の利用は今後の林業の大きな課題です。自然の方向性に抗わない伐り方、世代交代のし方を天然林から学び、天然林の多様性を維持しながら木を利用する道を模索していきます」