料理研究家の土井善晴さんが話す「一汁一菜」とは、毎食の献立は「ご飯と味噌汁さえあればよい」という考え方だ。一汁一菜とは「汁飯香」。「香」とは漬物を指すが、いわく「ご飯を食べるための塩気であり、必ずしもなくていい。ご飯におかずの一品は、味噌汁を具沢山にすれば、味噌汁がおかずの一品を兼ねるので、それでOK。何か塩気が欲しいと思えば、ご飯に味噌をのせて食べればいい」。
それを伝える『一汁一菜でよいという提案』(
家庭料理に革命的な変化をもたらした「提言」に至るまでの、
味噌汁にはなにを入れてもよい
本にはこうある。「一汁一菜とは、ご飯を中心とした汁と菜(
「毎日三食、ずっと食べ続けたとしても、
そして「一汁一菜では、漬物をおかずの最小単位としています。
さらにこう続けた。「味噌汁には何を入れてもよいのです。野菜室に残った大根も人参の先っぽでも、一枚の椎茸、ピーマンやトマトなどなんでもいい。出汁もいらない。コクが欲しいなら、あまりの肉を入れればいいし、油あげ、ハム、ベーコン、ソーセジ味の出るものを入れればいい。水を加える前に、油で野菜を炒めてもいいし、出来上がりにバターを落としても、イタリアン人のようにオリーブオイルを垂らしても、オニオングラタンスープのようにチーズを入れてもいい。お味噌はなんでも受け入れてくれます」。
また、「お味噌汁は、一人分でも、二人分でも、きちんと残さず食べ切れる味噌汁が作れます。作り方は、椀にいっぱいの具、椀にいっぱいの水を、鍋に入れる。鍋を火にかけて、煮立てば、味噌を解く。それでお味噌汁の出来上がり」だという。
「味噌を湯に溶けば味噌汁である」なのだ。であれば会社でもどこにでも、味噌さえ持参すれば、お茶を入れるよりも手軽に味噌汁がいただける。「酒造りに励む杜氏は、椀に味噌を入れ、鉄瓶で沸かした湯を注いで溶き、手弁当に添えます」(土井さん談)
沖縄では、椀に味噌と削り節一つかみを入れ、熱湯を注げば「かちゅー湯(かつお湯)」と沖縄の味噌汁を紹介している。削り節が具になるのだ。
水に煮干しを入れて中火にかけゆっくり煮て、