2022.05.29
# 日本経済  # デフレ

政府債務残高は、毎年「過去最大」が普通!

長期債務1000兆円超えでも問題なし
財務省は5月10日、国の長期債務残高が3月末時点で1017兆1072億円になったと発表。初の1000兆円超えということでニュースにもなった。
しかし、永濱利廣氏(第一生命経済研究所首席エコノミスト)は、『日本病——なぜ給料と物価は安いままなのかで、政府債務残高は経済安定化のために増え続けるのが普通で、「減らすべき」と捉えるのは間違いだと断言する。「過去最大」の政府債務をどう捉えるべきか、永濱氏に解説してもらった。

 政府債務残高と経済成長率は比例する

日本の政府債務残高が危険な水準にあると騒がれているが、実は、日本の政府債務は、ここ20年で1.8倍程度にしか増えていない。そして、その間、GDPは1割程度しか伸びていない。

一方、アメリカは政府債務を5倍以上増やし、GDPは5割近く伸びている。イギリスも政府債務を6倍以上に増やし、GDPが3割近く伸びている。この図を見ると、政府債務残高と経済成長率には、明らかに正の相関関係が見て取れる。

海外のマクロ経済学では、政府債務残高は「減らすべきもの」ではなく、「経済を安定させるために適正な水準に保つべきもの」と捉える。

ゆえに、物価や雇用を安定させるために政府債務を増やす必要があれば、必要に応じて大きく増やす。そうした結果、アメリカやイギリスは、リーマン・ショックやコロナ・ショックの後も、素早く景気を回復させることができた。

日本も本来なら、バブル崩壊後に日銀のマネタリーベースと政府債務をもっと増やし、積極的な金融・財政政策を取るべきだったのだが、そうしなかったことで長期デフレに陥った。今、デフレ回避のために積極的な金融・財政政策を行うのが「世界の常識」になっているのは、「ああはなりたくない」と日本を反面教師にしているからである。