2022.05.26
# ビジネス

バンド活動優先で「課長昇進」を拒否した32歳営業主任、会社は「懲戒処分」にできるのか?

会社員にとって管理職への昇進は、おめでたいことのように思われがちだ。しかし、それが遠隔地への転勤をともなうもので、なおかつ給料が下がるとしたらどうだろうか? 

32歳の営業主任・A宮さん(仮名=以下同)は福岡営業所の「課長昇進」の話を、自身のバンド活動との兼ね合いで断った。バンドのD崎リーダーが指摘したように、残業代が出ず、各種手当をもらっても割に合わなかったという事情もある。

一方で、直属の上司・B村営業課長はその返答に唖然。A宮さんを課長に推薦したC坂営業本部長は怒りが止まらず「懲戒処分にする」と息巻いてるのだが……。

はたしてA宮さんの懲戒処分は法的に認められるのだろうか? 社会保険労務士の木村政美氏が、専門家の立場から解説する。

「昇進」と「昇格」はどう違う?

A宮さんの処分が気になるところですが、その前に昇進や管理職についての基本的な知識を押さえましょう。

◎昇進と昇格の違い

昇進(出世したとも言う)とは、企業の人事で平社員が主任、課長が部長になる等社内での立場や地位が上がることを指す。

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昇進と似た言葉に昇格があるが、昇格は社員の業務能力が上がったと認められた場合に、企業内の格付けが上がることをいう。

社員の能力によって等級を定める「職能資格制度」は、入社後下位の等級から始まり、職務能力が基準に達したことが認められれば相応の等級に昇格する。

そのときに給与も同時に上がることが多いため、職能等級別の基本給与額は就業規則(給与規程)に明記されている。だだし、企業によっては職能資格制度を導入していないケースもあり、その場合は昇格の扱いはない。

昇進と昇格は違う意味だが関連性もある。それはなぜかというと職能資格制度を導入している企業の多くが、昇進の条件として一定等級以上の社員であること、例えば「課長は○等級から○等級までの社員であること」などを掲げているからである。

しかし等級の該当社員が全員昇進することはなく、その中から企業が「その役職に相応しい」と認めた社員のみが昇進する。

 

◎管理職の仕事と役割

管理職の仕事は、一言でまとめると「企業の方針に則って、管轄部署内で掲げた目標を達成するための労務管理と部下の育成を行うこと」である。もう少し詳しく記載すると次のようになる。

・経営層の考えや企業目標などについて部下に伝達し、その内容を踏まえた上で部署内の明確な目標を設定、部署が一丸となって業務に取り組めるようにまとめる

・部署内で効率よく業務をするために、メンバーに仕事の割り振りを行い、個々の状況を適宜確認しながら管理する

・職場内の人間関係、トラブルや課題の解決、部下のモチベーション向上などについて、職場内でより良い状態に改善するための調整役になる

・顧客や取引先との関係構築を図る

・部下の仕事に対して責任を負う

などがある。

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