「アニメは世界を変えられる。“刺され、誰かの胸に――”」がキャッチコピーの映画『ハケンアニメ!』は、アニメ業界で働く者たちを描いた、熱血エンタテインメントだ。吉岡里帆さん演じる期待の新人監督・斎藤瞳と、中村倫也演じる崖っぷち状態の天才監督・王子千晴が、アニメの頂点“覇権”を争って熱い闘いを繰り広げていく。全ては、誰かの心に刺さる作品を作るために。

直木賞・本屋大賞受賞作家の辻村深月さんがアニメ制作の現場を舞台に描いた小説を、実際のアニメを取り入れながら実写化した本作は、「働くとはなにか」「自分にとっての仕事とは何か」も考えさせられる。映画公開を記念したインタビュー前編では、中村倫也さん自身が刺さったエンターテインメント作品のことや、ものづくりについて伺った。後編では「仕事」「働く」ということについての率直な言葉をお伝えしていく。

撮影/山本倫子
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エネルギーを使わずお金が入ることほど怖いことはない

『ハケンアニメ!』は、わかりやすく言うと“お仕事ムービー”だが、「はたらく」という言葉は、「“はた”(側=周りの人)を“ラク”にする」ことから生まれたという説がある。それを踏まえて、「中村さんにとって“はたらく”とはどういうことですか?」と質問すると、「まさに!」と膝を打ちたくなるような答えが返ってきた。

「僕の中の“はたらく”というのは、“苦労”とイコールかな。“働く”って“人が動く”って書きますし、エネルギーを使うものであることは確かですよね。というか、僕は、エネルギーを使わないでお金が入ってくることほど怖いものはないと大人になって思いました。自分が生きていくためのお金を稼ぐって本当に大変なことなんだなって。どのポジションの、どのセクションの、どの職種の人も、“はたらく”上で苦労はつきものだと思うんです。それを楽しいと思えたら、それはきっと好きな仕事なんでしょうね。

僕は、ありがたいことにこの仕事が楽しいです。でも、楽しいと思えるところまで行くには、ラクしてちゃダメ。ラクと楽しいは、おんなじ字を書くけど、イコールではなくて、むしろ仕事って、そのとき苦しい方が振り返ってみると楽しかったりする。イヤですけどね、気持ち的にも体力的にもキツいから(笑)。それでも、楽しいって思うに至るまでには、ちゃんと苦労しなきゃいけないと僕は思いますね」

撮影/山本倫子