映画、アニメ、小説、音楽……。何らかのエンタメ作品に出会ったことで、突然、目の前の景色が変わったことはないだろうか? 「アニメは世界を変えられる。“刺され、誰かの胸に――”」がキャッチコピーの映画『ハケンアニメ!』は、アニメ業界で働く者たちを描いた、熱血エンタテインメントだ。期待の新人監督・斎藤瞳と、崖っぷち状態の天才監督・王子千晴が、アニメの頂点“覇権”を争って熱い闘いを繰り広げていく。全ては、誰かの心に刺さる作品を作るために。そして、監督のバディであるプロデューサーは、その「誰か」に「1人でも多くの」という形容詞をつけるべく、それぞれのやり方で奮闘していた。

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小さい頃に心に刺さった映画たち

中村倫也さんが演じる王子千晴は、若くして世に出て、“カリスマ”“天才”と称されながら、その後8年もヒット作を出せずにいた。その監督復帰作は、吉岡里帆さん演じる斎藤瞳のデビュー作にとって最大のライバルとして立ちはだかる。直木賞・本屋大賞受賞作家の辻村深月さんが、アニメ制作の舞台裏を描いた小説『ハケンアニメ!』の映画化である。

中村倫也さんは天才アニメ監督の王子千晴、吉岡里帆さんは王子千晴を尊敬する新人監督の斎藤瞳を演じている (c)2022 映画「ハケンアニメ!」製作委員会

「僕も、小ちゃい頃に心に刺さった映画はいくつもあります。パッと思い浮かんだのが、『フォレスト・ガンプ/一期一会』と、『セブン』。その2つは今でもよく見返します。アニメなら、『アラジン』を最初に挙げておこうかな(笑)。スタジオジブリ作品や、テレビアニメでは、ガンダムシリーズをよく観ていました。あとは、御多分に洩れず、『ドラゴンボール』も好きでした。今回、『ハケンアニメ!』の撮影の勉強になるかもと思って、YouTubeなんかでアニメ制作の動画を見ていたんですが、制作現場は本当に大変なんですよ。特に、ジブリや『ガンダム』は手書きなので、今回僕が見た“現代的なアニメ作り”の動画からは計り知れない苦労があったと思います」

『ドラゴンボール』に関しては、忘れられないエピソードがあるという。

「親は、『暴力的だ』という理由で、『ドラゴンボール』はあまり観せてくれなかったんですが、全面禁止というわけではなくて、たまに視聴許可が出たことがあって。前の週の予告で、それまで見たことのないカッコいいキャラクターが登場したから、『誰だろう?』と次の放送をすごく楽しみにしていたら、緊急のニュースか何かで、その日の放送が流れてしまった。それで、『なんでドラゴンボールやらないの?』って、泣きながら親に怒りをぶつけていた記憶があります。ハハハ。たぶん、そのカッコいいキャラクターは、トランクスだったと思うんですけどね」

倫也少年に限らず、宇宙規模での冒険活劇『ドラゴンボール』が多くの少年たちの心を鷲掴みにしていたことは疑う余地もないが、中村さんは、「あと、個人的にハマったアニメといえば」と、少しマニアックな作品をピックアップした。

「NHKでやっていた『モンタナ・ジョーンズ』という作品があるんです。ボストンに住んでいるアルフレッドとモンタナは従兄弟同士で、モンタナは飛行機乗り、アルフレッドは考古学者。2人が、世界の遺跡に眠る秘宝を探しに行くんですけど、そこに必ず、“ゼロ卿”っていう遺跡荒らしが現れる。タムマシン系のメカとかも出てきて、最後はゼロ卿が『覚えてろよ!』という捨て台詞を吐いて終わるんですが、それは夢中になって観ていましたね。大人になってから、DVDになっていないかと探したけど出てなかった。いろんな国の共同制作らしいので、権利関係なのかな。もし出たら絶対買います!」

撮影/山本倫子