GWが終わり、新聞の折り込み広告では各塾の「夏期講習会」の告知が目立ってきている。「夏」は受験生にとって受験勉強に一番専心できるタイミングであるのは間違いない。しかし、保護者がそこで張り切ってしまうと、思わぬ「落とし穴」が待ち受けていることがあるという。『令和の中学受験 保護者のための参考書』(講談社+α新書)の著者であり、中学受験専門塾・スタジオキャンパス代表の矢野耕平さんに、その理由を伺った。

「過去問」で合格点が取れない……

「お前、3年生から塾に通い始めて丸3年以上経っただろう。それなのに、志望校の過去問(過去の入試問題集)で合格点に程遠いのはどういうわけだ!? 入試まであと半年じゃないか!」

父親は息子にそんな罵声を浴びせたという。

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数年前の夏、わたしはこの子の母親からこの件に関して相談を受けた。聞けば、父親から怒鳴られたあと、学習へのモチベーションが低下してしまったそうだ。

受験生の夏休み。夏期講習会の合間を縫って家庭で志望校の過去問を演習したらしい。父親としても塾通いを続けてきた成果がどれだけ発揮できるか楽しみにしていたのかもしれない。しかし、結果は合格ラインどころか、受験者平均点にもはるかに及ばない……。

中学受験塾講師のわたしからすれば、このような結果になるのは当然だと思う。この時期に志望校の過去問で合格ラインを超える受験生など滅多にいないものなのだ。

確かに低学年から塾通いをしている子どもたちにとってみれば、6年生の夏は受験勉強の「終盤」に当たる。しかし、大半の塾は6年生の春~夏前までに中学受験で出題される範囲を一通り網羅するカリキュラムを組み、夏期講習会からこれまでの「総復習」をおこない、知識を再定着できるよう働きかけることになる。塾側からすればこれからが本格的な総仕上げになるのだ。

つまり、受験生といえども、夏の時期は「一通りのカリキュラムを終えただけで、それらの復習がまだできていない」タイミングなのだ。