みなさんは自分の体、また大切な人の体のことを、どれだけ知っていますか? 今回は、1985年から2000年までの15年間、慶應女子高で人気を博した保健授業の内容を最新情報に改めまとめた、慶應連合三田会会長・内科医菅沼安嬉子先生の一冊『私が教えた慶應女子高の保健授業』(世界文化社)より、「がん」にまつわる基礎知識や予防法などについての内容を一部抜粋してお届けします。

著者/菅沼 安嬉子(すがぬまあきこ)
1943年、東京に生まれる。1968年、慶應義塾大学医学部卒業、内科学教室入室。2020年3月、女性で初めて慶應連合三田会会長に就任。菅沼三田診療所副院長。慶應義塾評議員、慶應義塾大学医学部三四会評議員、慶應医学会評議員、日本ワックスマン財団理事他、多数務める。1985年から2000年まで、医師として診療を行うかたわら、慶應義塾女子高等学校で保健授業の講師を務めた。また、2001年~2008年、慶應義塾大学看護医療学部講師(臨床栄養学)。

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2人に1人が「がん」になる

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がん(癌)は、1981年から日本人の死亡原因の第1位を占めています。昔の人は結核や肺炎の感染症で死亡し、その後、脳出血や脳梗塞といった脳血管障がいが1位になりましたが、21世紀になってもがんは1位の座を守り通しています。日本人のがん死は増え続けていて、4人に1人から3人に1人の割合になりつつあります。死ななくても2人に1人ががんになる時代になりました。

近年、イギリス、アメリカ、日本等のがんを研究する学者たちの努力によって、がんの要因の2/3は、 生活習慣によって起こってくることがわかってきました。がんは、遺伝子(DNA)のキズから始まります。ただ、がんになりやすい遺伝子を持っていても、環境が揃わなければ発病しないので、若いうちに予防知識を持つことは絶対必要だと私は考えています。

がんになるのはお年寄りが多いので、若い人は自分にあまり関係がないと考えていると思います。年をとってくると、DNAの傷の修復にエラーが起こりやすいので、年を重ねるほど、がんが起こりやすくなることは確かです。ところが、1個のがん細胞が誕生してから1gのがんになるまでに約20年かかるのです。40歳くらいでもがんになる人がいることを考えると、若いうちに勉強しておいて早すぎることはありません。