#MeTooで揺れている日本の映画界や演劇界。性暴力やパワハラだけではなく、俳優にお金を請求したり、俳優を精神的に追いつめるワークショップが問題となっている。今回、日本で12年俳優活動をした後、ハリウッドに活動拠点を移し、クリント・イーストウッド監督作品からマーベル・DC作品まで出演してきた俳優、尾崎英二郎氏に話を聞く機会を得た。
アメリカのキャスティング事情について聞いた前編に続き、後編では、日本のハラスメント体質の根にあるものを探ると共に、アメリカのエンタメ界で行われているハラスメント対策について聞いた。

尾崎英二郎氏
尾崎英二郎/俳優
1969年生まれ、神奈川県出身。NHK連続テレビ小説『あぐり』でドラマデビュー。映画『硫黄島からの手紙』出演後の2007年に渡米。出演略歴:マーベル『エージェント・オブ・シールド』、DC『レジェンド・オブ・トゥモロー 』、アマゾン『高い城の男』、CBS『私立探偵マグナム』、Netflix『オルタード・カーボン』、NBC『ヒーローズ』、NHK『ハルとナツ 届かなかった手紙』、大河ドラマ『元禄繚乱』、著作に『思いを現実にする力』(ディスカヴァー)、メールマガジン『夢をつかむプロセス』等がある。

※本記事はドキュメンタリー映画『キャスティング・ディレクター ハリウッドの顔を変えた女性』のトークイベントの内容に加筆・修正を加えたものです。

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縦社会がハラスメントを誘発する

――日本の映画界でいまハラスメントが問題になっていますが、そうした状況を生んでいる背景についてどう思われますか?

尾崎:時間と予算が限られている、ということも大きいのではないでしょうか。余裕の無いなかで製作しようとするとどうしても職務上の身分が低い者に作業のしわ寄せが来てしまいます。また、日本の縦社会にある根強い徒弟制的なシステムによって「現場で、やることを見て覚えろ!」というような力関係が生まれてしまいがちですよね。すると人間関係が圧倒的に不均衡になり、ハラスメントが常に起きやすくなってしまう。

――アメリカのエンタメ界には徒弟制的な側面はないのですか?

尾崎:自分のやり方をアシスタントに教えて育成するような、ある種の徒弟制はあると思います。ただ、アメリカはよくも悪くも個人主義の国なので、個人を尊重し、教え子への対応の仕方が日本とは違います。

ハラスメントは日本の映画関係だけではなく、あらゆる業界で起きていますよね? 日本の縦社会による主従の関係が温床になるからです。階級の底辺にいる人はNOとは言えない、自分の意見が言えません。映画界の縦社会の下にいるのは若手の俳優やスタッフ。喉から手がでるほど仕事がほしいから、条件が悪くても受け入れてしまい、やりがい搾取が頻繁に起こります。そもそもこのような縦社会においては健全な絆や信頼関係が築けないですよね。