ALS(筋萎縮性側索硬化症)を検索すると「感覚があるままに体が動かなくなる病気」という説明が多くあります、もう少し詳しい書き方を探すと「筋肉が動かなくなってしまい最終的に自力で呼吸が出来なくなる」と書かれています。そして「現在、効果の認定されている治療法が無い」と言われていることで知られています。ALS罹患を公表して2年半が過ぎ、病状は進行しています。そしてALSという難病の最初の決断の段階に入ってきたと思います。今回は前回の気管切開のお話しに引き続き今後のALS(筋萎縮性側索硬化症)の進行に対しての考えをお話したいと思います。

ニャンちゅうの声を演じて31年目に突入した声優の津久井教生さん。2019年の3月に足に違和感を抱いてから半年後にALSの告知を受け、2年半がたった。前回の連載「呼吸の確保は声を失うこと…ALS罹患のニャンちゅう声優が直面する「最終段階」」でお伝えしたように、手足が動かず、原稿を割り箸を口にくわえてひと文字ひと文字打ち込んでいる状態から、痰を出すのも難しく、気管切開についても考えなければならない局面を迎えているという。そして気管切開ということは、今のように声の仕事をすることが難しくなる可能性が高いことを示しているというのだ。連載「ALSと生きる」、52回はもう少し詳しく「気管切開」の前に必要なことを説明いただく。
2020年の「ニャンちゅう」チームの皆さん。左から比嘉久美子さん、津久井さん、鎮西寿々歌さん。鎮西さんはツイッターで「キッズファミリー賞」受賞にお祝いのメッセージも! 写真提供/津久井教生
津久井教生さん連載「ALSと生きる」今までの連載はこちら
-AD-

気管切開のお話を始めて感じたこと

やはり大きな反応は「気管切開という対症療法をすると声を失う」ということに対してのものでした。「人工呼吸器」をつけたら声を失うと思っていた方が多かったようです。よくALS罹患者の映像で喉から管が出ているのを見ることがあります。あの喉から管を出している部分を作ることを気管切開というのです。

話題となった前回の記事

「気管切開という対症療法の手術を受けること=人工呼吸器を装着するということ」ではありません。人工呼吸器を装着するときには気管切開をすることになりますが、呼吸を楽にするためだけでなく、誤嚥性肺炎などを防ぐために気管切開をすることも多いのです。ALS(筋萎縮性側索硬化症)の罹患者だけでなく、嚥下に障害がある病気や事故の影響、そして呼吸器系に障害があったりすると施術されます。

人工呼吸器をつける穴をあけるのだから、人工呼吸器をつけると同じことなのではないかと言われると、確かにその通りなのです。しかしながら、呼吸を楽にするための気管切開と人工呼吸器を装着しないと呼吸がままならないのであける気管切開とでは、施術される人間の状態が全く違うといいます。そして、この境目にも大きな決断が迫られます。

現状の私は痰が増えてきて飲み込みにくくなり、出しにくくなってきています。喉にたまる大量の唾液や痰をうまく食道にいざなえなくなり、飲み込めなくなることによって起こる窒息や呼吸困難を防ぐために必要になるのが吸引チューブによる痰吸引です。人間は無意識のうちに痰や唾液を飲み込んでいるのですが、1日2リットルくらいとも言われています。それがうまくできなくなってきています。