6年間東京の外資企業に勤務し、ロンドンの投資会社勤務を経て現在、ロンドンのスタートアップ企業で働く鈴木綾さん(33歳)。「鈴木綾」はペンネームで、彼女は日本人ではない。そしてイギリス人でもない。国籍を明かさずに、一人の人間として女性の生き方をはじめとする現代社会のあり様を観察し、執筆している。

鈴木さんは日本を愛しながらも、その「不愉快な環境」に耐えかねて、4年前に渡英した。彼女が耐えられなかった環境とは、どんなものだったのか。先日、初の著書『ロンドンならすぐに恋人ができると思っていた』(幻冬舎)も上梓した鈴木さんに、ロンドンで暮らして改めて気づいた日本特有の問題について綴ってもらった。

※以下、鈴木さんによる寄稿。

鈴木 綾
1988年生まれ。6年間東京で外資企業に勤務したあと、MBAを取得。ロンドンの投資会社勤務を経て、現在はロンドンのスタートアップ企業で働く。2017から2018年までハフポスト日本版に「これでいいの20代?」を連載。日常生活の中で感じている幸せ、悩みや違和感について日々エッセイを執筆。日本語で書いているが、日本人ではない。『ロンドンならすぐに恋人ができると思っていた』(幻冬舎)が初めての著書となる。
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父親から教わった、日本の「三つの災禍」

母国の大学を卒業した後、日本に引っ越すのを決めたとき、父にこう注意された。

日本の三つの災禍に気をつけて

三つの災禍って?

ツナミ、ジシン、セクハラ」と彼は真剣な顔をして答えた。

「ハァ?」

私は大学時代に3カ月、日本に留学したことがあった。そのときに作られた日本のイメージと父の言葉は、全く合わなかった。私にとって日本は、朝3時まで楽しく友だちとカラオケとプリクラができる国。どこの店に行っても料理が美味しい国。まちが綺麗で安全な国。

でも、いまとなっては父の言葉に従うべきだったのかもしれない。

社会人になって6年間東京に住んで、三つ目の災禍の恐ろしさを肌で実感した。仕事関係で2回もストーカー被害に遭った。電車の中で痴漢に遭った。知らない人に盗撮された。接待での身体的接触、セクハラ発言をされるのが日常茶飯事だった。大体、セクハラ癖のある人は社会的地位の高い人だったので、丁寧に、相手が傷つかないように、私の会社に損害が与えられないようにスルーする工夫を考えるのが上手になった。

〔PHOTO〕iStock

私だけじゃなかった。周りの女性はみんな同じ思いをさせられていた。大学卒業までみんな平等に思えたのに、社会人になった瞬間に何かが変わった。その前のことは全部嘘だったのか。