2022.05.23
# マンガ

「島耕作」シリーズの弘兼憲史が明かす、島耕作の出世を導いた「人間力」の正体

「頭の良さ」とは何なのか?

1970年に初芝電器産業(現テコット)に入社してから約50年、順調にステップアップしてきた島耕作は社長、会長まで上り詰め、今年3月には相談役を勇退。現在は新たなシリーズ『社外取締役島耕作』が連載されている。

かつては「平凡なサラリーマン」と言われることもあった島耕作がここまで出世できたのは、一体なぜなのだろう? 新刊『島耕作と鍛えるロジ脳』に掲載された著者の弘兼憲史氏のインタビューから、その秘密を探ってみよう。

 

組織でのし上がるのに必要な「人間力」

僕は漫画家になる前、大手家電メーカーに新卒で入社して3年間働いていました。そこで学んだのは、「学業の優秀さと社会人としての能力は、必ずしも比例しない」こと。そして「場の空気を読み、相手の感情を慮る力が必要」ということ。これが社会人に求められている「頭の良さ」だと思います。

僕の入った会社には、東大をはじめ旧帝大、一流私大、その院卒から、私大の中でも偏差値的にそれほど高くない大学の学部卒業生まで、毎年、文系・理系問わず800人くらいが入社していました。新人研修のときはやはり一流大学出の優秀さが目立つんですよね。

撮影:神谷美寛

一方で、研修で質問されても全然、答えられないA君という人がいて、彼はあまり優秀と言われる大学の出身ではなかった。同期の間でも「あいつダメだな」という評価だったのに、僕が会社を辞めて20年くらい後かな、久しぶりに同期に会ったらA君が一番出世していたんです。ほかの優秀な同期は主任とか課長クラスだったけれど、彼だけ2ランクくらい上の地位にいた。

よく考えると、A君って一言で言えば人間的にバランスのとれた“いいやつ”だったんですよ。

組織で出世する人は、下から好かれるタイプより上からかわいがられるタイプのほうが多い。彼もそのイヤミのなさで上からかわいがられて引き上げられたのかな。それもひとつの能力ですよね。

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