2022.05.20
# 学校・教育

最新の「学習指導要領」が、「絵に描いたモチ」になってしまっている意外な理由

元文部官僚の前川喜平氏と法政大学教授でキャリア教育が専門の児美川孝一郎氏が、この30年の教育政策について語り合った『日本の教育、どうしてこうなった?』(大月書店)。以下では、同書のなかから、2017〜2018年に改訂された学習指導要領の問題点についてお二人が語った部分をご紹介します。

派手な改訂

児美川:2017年・18年改訂の現在の学習指導要領についておうかがいしたいと思います。

この改訂は、教育内容ではなく「育てたい資質・能力」ベースで教育課程を組むとか、「社会に開かれた教育課程」や「学びの地図」といった目標設定とか、あるいは「主体的・対話的で深い学び」(アクティブ・ラーニング)や「カリキュラム・マネジメント」の導入など、なかなかに派手な、いろいろな意味で話題が満載な改訂になりました。

それぞれについては、もちろん多様な意見がありました。批判的な見解も多々出されたように思います。ただしここでは、そのすべてを論じている余裕はありませんので、一点に絞ってお聞きします。

この改訂では、そこに盛られた中身を本気で実現しようとすれば、当然のこととして、教育内容を精選しなければ不可能だったのではないかと思うのです。それぞれの教科・科目の内容を「知識・技能」として身につけるだけではなくて、アクティブ・ラーニングを通じて「思考力・判断力・表現力等」の獲得にまでつなげていくことが求められています。

さらには「学びに向かう力、人間性等」の育成も。当然、これまでの授業のやり方よりもかなり時間がかかるはずです。それなのに、教育内容は減っていません。

そもそもの最初から、教育内容は削減しないということを前提にして、教育課程の改訂論議がスタートしていました。それはどういうことなのでしょうか。

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