日本の野球は、なぜ「昭和の時代」から抜け出せないのか…メジャーリーグと比べて分かったこと
「ベースボール」と「野球」
“ベースボール”と“野球”の違いってなんなのだろう。
“楽しむ”のがベースボールで、“人間形成する”のが野球だと言えば、身も蓋もない。“点を取る”のがベースボールで、“点を取られない様に守る”のが野球という言い方も出来るかも知れない。
“ベースボール”が本場アメリカから伝わり、日本の学生野球の育ての親と言われる中馬庚(ちゅうま・かのえ、1970年に野球殿堂入り)が“野球”と訳したのだが、日米で競技ルールは同じでも、スポーツとしての捉えられ方は違ったものになっているようだ。

ちなみに、野球のはじまりは、日本の野球殿堂博物館のホームページによるとこうだ。1845(弘化2)年にアレキサンダー・カートライトが今日の野球につながる規則を作った。
その時に作られたルールによると、「打者に対する投球はピッチで、スローではない」とされ、これは投手は下手投げで、打者が打ちやすいボールを投げていたということを意味する。また、「試合は21点で成立する」とあり、ベースボールはそもそも“点を取る”スポーツだったことを表している。
それから27年後の1872(明治5)年に開成学校のアメリカ人教師ホーレス・ウィルソン(2003年に野球殿堂入り)が日本の生徒にベースボールを伝えた。日本で初めての本格的な野球チーム「新橋アスレチック倶楽部」が結成されたのは、1878(明治11)年のことである。
広く知られていることだが、日本に野球が伝わった初期にはまだプロ野球はなく、当初は学生野球から人気が出たのだ。
第一高等学校の活躍や、早稲田と慶応(第1回早慶戦は1903(明治36)年)などからなる東京六大学の創設(1925(大正14)年)、高校野球の全国大会スタート(1915(大正4)年に第1回大会)などアマチュア野球の歴史は長い。
プロ野球が始まったのは1936(昭和11)年のことである。日本の野球は学生野球から始まっているので、「教育の一環」としてのスポーツと性格付けされたのだと思う。