衝撃的な一コマ
夏の参議院選挙に向けて日本維新の会は、党の重点政策をマンガで紹介する冊子を作成したという。GWも終わり、いよいよ維新も選挙モードになってきたということだろう。
冊子の内容は、戦隊ヒーローに見立てた主人公「改革戦隊 維新ジャイ」が、将来の年金制度に対する「不安」などを表す怪人を、党が掲げる政策を使って次々と倒すストーリーになっている。
維新は、この冊子を街頭で配ったりホームページで公開するのだというが、気になった一コマがあった。それは以下のようなコマになっている。
赤い仮面をつけた主人公が怪人たちに《今日がおまえらの「年貢の納め時」だ! 改革戦隊維新ジャイ!》と叫ぶシーンである。

維新は、ベーシックインカムという制度を導入しようとしているが、莫大な財源が必要なたため、将来的には大増税が必要となる。その「不都合な真実」については、松井一郎代表以下、維新の候補者は必死で覆い隠そうとしている。その点を考えあわせると、この冊子は大きな皮肉のようでおかしみが湧く。「ついつい本音が出てしまった」ということなのかもしれない。
つまり、このコマはこういう風に解釈しうるということだ。
改革戦隊維新ジャイは、描写からも分かるように、刀を持っているようだ。維新は野党で政府組織ではないから、さしずめ民間の武装組織ということだろう。
彼らは叫ぶ、「税金を納める時間がきたよ」と。年貢とは、江戸時代に領主が毎年農民から取り立てていた税金のことだ。年貢の納め時とは、本来、「悪事をし続けた者が、ついに捕えられて、罪に服さなければならない時をいう」(精選版 日本国語大辞典)のであるが、財源問題を隠し続ける維新がいうと別の意味で解釈できてしまうのだ。
ここで、維新においてベーシックインカムがどのように扱われてきたのか、新聞記事を中心に振り返ってみよう。
維新がはじめてベーシックインカム政策を公表したのは、2012年の2月のことだった。朝日新聞(2月13日)で、《維新の会の「船中八策」の骨格》として《政府が国民に現金を給付するベーシックインカム制度の設計》をすることが明らかにされた。ちなみに、維新の船中八策とは、維新の選挙公約のようなものだ。