2022.05.22

地図を立体にすると何が見える?——環境研究を「触れる化」してみたら

クラウドファンディング挑戦中!

環境研究の「触れる化」を掲げてクラウドファンディングに挑戦中の国立環境研究所の五味馨さん。福島の復興と環境研究の情報をわかりやすく、面白く発信するために立体地図へ投影する双方向型コンテンツ「3Dふくしま」の開発に取り組んでいます。

《「3Dふくしま」プロジェクションマッピングで環境研究を「触れる化」したい!》

プロジェクションマッピング「3Dふくしま」とはどんなものなのか? 平面の地図や動画ではない、立体地図ならではの利点はどこにあるのか、くわしく解説していただきました。

なぜリアルな物体として作ったのか

3Dふくしまは「立体地図へのプロジェクションマッピング」システムです。動画やゲームに限らず、沢山の面白いコンテンツがどこにいてもスマートフォンやパソコンでみられる今、なぜ3次元の、わざわざ現場に来なければ見られないリアルな物体として作ったのか。疑問に思われる方もいるかもしれません。そこで地図を立体にしてデータを見ることの説得力と面白さを紹介します。

まずは「3Dふくしま」について。これは真っ白な立体地図模型にプロジェクタで色々なデータを表現した地図を映写するものです。調査研究のデータを分かりやすく、かつ、面白く見て頂くために開発しました。いくつかのサイズ違いがあります。

コミュタン福島に展示されている「3Dふくしま」

立体地図のほうはただの白いデコボコです。世の多くの立体地図模型は色が塗ってありますが、これは白いままにしておいたので地図になってさえいればどんなデータでも投影することが出来ます。要はプロジェクタで投影するためのスクリーンが立体になっただけ。より重要なのは映される映像のほうです。

ところで真っ白なただのデコボコでも地形はリアル。地元の方であれば色々なことが分かると思います。

写真は福島市周辺。信夫山が分かります?

もともとは一般の方に向けて出前講座などで研究成果を紹介したときに、内容がどうしても難しくなってしまうのを、何とか分かりやすく出来ないかと考えたのが始まりでした。

しかし、試作してみると、これは面白い。とても面白い。

平面の地図をそのまま映すだけで目の前にリアルな福島県が現れます。鳥になって空から見下ろしているみたいですね。

平面の地図をそのまま投影しただけでも、鳥になって空から見下ろしたような面白さがあります

もちろん面白いだけではなく、調査研究のデータが分かりやすく伝わることが目的です。例をいくつかみてみましょう。

人の住む場所と地形の関係

まずは人口分布です。普通、なんとなく山のほうは人が少ないとか、大きな都市は平地にあるようなイメージがあると思います。【画像1】は福島県の西側、会津地方の人口分布です。緑が少ない、赤が多い。白いところは住んでる人がいません。右上のほうに人がかたまっていて、左下のほうは線状に色がついていますね。

【画像1】福島県の西側、会津地方の人口分布。緑が少ない、赤が多い

この人口データを衛星画像と重ねて立体に映写してみましょう。南から見るとこうなります。

人口データと衛星画像を重ねて立体地図に投影

線状の色付き部分は谷だったということが分かります。この地域のような山の深い地域では谷に沿って町が出来るわけですね。それでは、右上の人が多いところはどうなっているでしょうか。

人口の多い部分を拡大してみる

山に囲まれた盆地になっていることが分かります。赤がかたまっているのは会津若松市。盆地なので夏には全国で一番暑くなる日もあります。

その盆地の右側には青い部分があります。これは猪苗代湖。全国で4番目に広い湖です。今度はその東側をみてみましょうか。

猪苗代湖の東側の地域

猪苗代湖の東側には山をはさんで白っぽい部分、市街地が広がっています。これは郡山市とその周辺。猪苗代湖とすぐ東の郡山市街を比べてみると湖のほうがずいぶん標高が高いことが分かるでしょうか。本来、猪苗代湖の水は全て西側に流れ、日本海に繋がっているのですが、この高低差を利用して東側に水を流す安積疏水が造られ、郡山の発展のきっかけになりました。

関連記事