幼い頃から、親が自分に対して冷淡な態度をとることに悩んできた若菜さん(来所時30歳・仮名)は、行政書士/公認心理師である著者の佐藤千恵さんの元を訪れました。
【前編】「人との「距離感」がわからず悩む30歳女性、原因は親の「子育て」にあったのかもしれない」では、両親が若菜さんに対してどのような態度をとってきたのかを詳しくみました。そうした両親の態度は、思春期の若菜さんに大きな影響を与えることになります。
※以下は、実際の事例をプライバシーに配慮して再構成した内容です
人の気持ちがわからない
若菜さんが思春期の頃の人間関係の悩みを振り返ります。
「思春期の頃から、女の子って特定のグループを作って行動するじゃないですか。私も中学校や高校ではグループで仲良くしていた友達はいたんですが、何て言うか…私、人の気持ちが分からずにマズイ対応をしてしまうことがしばしばあったんです」

どういうことがあったかというと、例えば中学の時、ちょっと元気がなかった日に、お友達が「元気ないけど何かあった?」と声を掛けてくれたことがありました。若菜さんを心配して声を掛けてくれたのです。しかしこういう時、若菜さんはつい
「ううん、大丈夫。どうせ言っても分かんないだろうから」
と答えてしまいます。高校の時、風邪をこじらせてしばらく学校を休んでしまった若菜さんは、病院の帰りにたまたま下校途中のお友達とバッタリ会いました。
「若菜、大丈夫? もう明日は学校に来られるの?」