孫正義社長におだてられ
『延命学の大家』菅首相が飛びついた「電力買取り法」の問題点

〔PHOTO〕gettyimages

 「延命学」の大家である菅総理が最近ご執心なのは、再生可能エネルギー電力を強制的に買取りさせる特別措置法(以下、電力買取り法)である。

 「(菅直人の顔を)本当に見たくないのか」というフレーズを3回繰り返し、法案を通す「作戦」を異常なテンションで語った場面は、何度もテレビで流され、もう「本当に見たくない」。

 電力買取り法はあの3・11当日閣議決定された。つまり、震災前の企画立案で、ドイツの固定価格買取り制度を模倣したもの。電力会社に一定量の自然エネルギー導入を義務付ける従来のRPS法を廃止し、利用者に賦課金支払いを請求できるようにしたところが、目新しい。

 菅内閣では珍しいことだが、民主党の09年マニフェストに載っているものを実現しようという法案だ。3ヵ月以上も放置しておいて、突然、クローズアップしたのは、孫正義氏におだてられたせいだろう。

エネルギー政策3点セット

 みんなの党は、脱原発依存と自然エネルギーの拡大を目指すが、この法案はいくつか検討を要する点がある。

 第一に、法案レベルでは出てこないが、経産省の検討では「全量買取り」を原則としつつ、「住宅用・10kw未満の設備については引き続き余剰電力買取り」とされている。この点はどう考えるのか?

 第二に、電力会社は、「電気の円滑な供給の確保に支障が生ずるおそれ」があるときは、設備を送電網に接続することを拒絶できることになっている(法案5条1項2号)。

 計画停電をやる時などは、自然エネルギー電力も止めてしまうということ(!!)。電力会社はこれまで「安定供給への支障のおそれ」と称して、「逆潮流の防止」なる保安院の通達を錦の御旗に、新規参入を阻み続けてきた。こうした運用を更に続けるのか?

 第三に、この買取制度による負担は、電力会社が負うわけではなく、電力料金を通じて利用者一般(事業者、家庭)が負担する。それでよいか。発送電分離による真の競争環境の導入・電力自由化、総括原価方式による過剰コスト体質の見直しをしないのか?

【以上、政策工房News Letter より】

 大震災の前に経産省が民主党に気を使って企画立案したものだが、9電力体制の地域独占や発送電一体を打破するような視点はない。いわば安全パイ。孫正義氏のような新規参入者にとっても固定価格買取制度はありがたい。

 というわけで、延命学の大家は飛びついたのだろう。

 みんなの党は、政府の東電賠償法案に対しては、東電破綻処理法案を出していく。これは、東電の社長が資金面で立ち行かなくなると書面で示しているのだから、一時国有化で解体型の事業再編を行い、賠償資金捻出と送発電分離・電力自由化を先取りするものだ。

 また、海江田大臣は、「原発の安全性について理解と協力を得たい」と強調するが、そんな言葉を誰も信じない。原発事故を大丈夫と強調しながら、後から不都合な真実が次々と出たから当然だ。原発緊急点検法案を出し、政府に対し国会監視の原発緊急点検を迫る。

 そして、原発住民投票・国民投票法案を検討している。原発の安全性について、国民の不安な気持ちが収まっていない。だから、上からの命令で原発を再開させるのではなく、国会の垣根を越えた草の根国民的議論をしたらよい。

 個別原発再稼動の是非を問う住民投票か原発政策継続の是非を問う国民投票、どちらがよいか検討が必要だが、国民的議論ができる投票制度を検討している。

 このエネルギー政策3点セットをもって延長国会で徹底議論したい。

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